国内テニス

海外のテニスアカデミーをどう選ぶ? イタリア、スペイン、スイスで迷った江原弘泰の選択理由

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2020.03.24

日本男子のトップ選手の一人である江原弘泰は、スイスのテニスアカデミーで腕を磨いた。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

 2014年の全日本チャンピオン、現在28歳の江原弘泰(エキスパートパワーシズオカ)は、かつてスイスに練習拠点を置いてプロ活動をしていた。今から9年ほど前、世界を目指していた江原は「海外を拠点にしたい」という思いが強くあり、イタリア、スペイン、スイスのテニスアカデミーを訪れて実際に練習を体験。最終的にスイスを拠点に定めた。

 3つの国のアカデミーにはそれぞれどんな特徴があり、なぜ江原はスイスを選んだのか、興味を引かれるところだ。江原に話を聞いてみた。

 江原が候補に挙げていたのは以下の3つのアカデミー。
「イタリアはボブ・ブレット(※ベッカーや松岡修造、イバニセビッチらを指導した名コーチ)のアカデミーで、当時チリッチや若きラオニッチもいました。スペインはダニエル太郎が在籍していたバレンシアの『テニスバル』。ここにはフェレールがいて、何回か練習したこともあります」

「そしてスイスはナショナルテニスセンターと同じ場所にある『スイステニスアカデミー』です。当時スイスNo.3のチウディネリ(ATP最高位52位)とか、ナショナルの選手も練習していて、フランスのシモンも時折来ていました」
 
 江原はこの3カ所ともに魅力を感じ、どこに決めるか迷ったという。
「まず共通点として、どこのアカデミーも日本よりトレーニングが進んでいると思いました。ただ鍛えるのではなく、テニスにより近いトレーニングを取り入れていた。今では日本のトレーナーもいろんな知識を得ていますが、当時は違いました。それと、どこも練習相手が豊富でしたね!」

 イタリアで3週間、スペインで3カ月トレーニングを行なった江原は、最後に訪れたスイスで「もう帰りたくない。ここにいたら強くなれる!」と確信し、拠点に決めたという。

「トレーニングの内容が自分に合っているし、練習相手も多い。(その後も含めて)シモンとは4~5回練習させてもらいました」と江原。「海外にいて日本に帰りたくないという感覚になったのは、この時が初めてです」というほど、江原にとってベストマッチだった。