海外テニス

「木製ラケットで壁打ちしていた」生ける伝説フェデラーが、テニス少年だった幼少期を振り返る

誉田優

2020.03.25

8歳からテニスを始めたフェデラー。ここまで成功できるとは夢にも思っていなかったという。(C)GettyImages

 現在、新型コロナウイルスの感染拡大により、テニスのツアーは男女とも6月7日まで中断をしている。そんな中、これまで103のATPツアータイトルを有し、歴代最多20回のグランドスラム優勝、310週もの間ATPランキングのトップに君臨したスイスの英雄、ロジャー・フェデラー。今や、生ける伝説とも呼ばれるフェデラーだが、そんな彼も昔はただのテニス少年だったと、ATPのインタビューで答えている。

「僕の最初の記憶は、木製ラケットまで遡ることができる。今のように黄色く光るテニスボールではなく、白いボールを打っていた。スイスでは、ノンプレッシャーボールをよく使っていた。きっと、みんな同じことを言うと思うよ」とフェデラーは笑った。「壁や戸棚、ガレージのドアに向かって壁打ちしていた。何時間もね」

 テニスを経験した多くの子どもたちと同じように壁打ちを楽しみながら育ったフェデラーは、テニスを愛するようになった。理由はいくつもある。直近3年間の連続優勝を含めて10回の優勝経験を誇る、スイス室内のボールボーイだったことは、あまりにも有名だ。
 
「(テニス関連の)たくさんのステッカーを集めていたよ。90年代はじめだったと思うんだけど、当時のテニス選手たちについて書いてある本もあった。トーナメントにトロフィーなんかについても書いてあって、それを読んで色々なことを知ったよ。そして最終的に、スイス室内のボールボーイになったんだ。

 サインをもらうために選手たちを追いかけていた。当時はセルフィーなんてなかったから、大したことはできなかった。だから、彼らと会った思い出は、僕の記憶の中だけにしまってあるよ」

 フェデラーはこれまで、1242ものシングルスマッチに勝利し、過去19年間を平均すると、年5大会でツアータイトルを獲得している。だが、幼かったフェデラーはこれほどまでに成功するとは夢にも思っていなかったようだ。
 
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世界的な活躍により、スイス人の国民性にさえ影響を与えるフェデラー