海外テニス

プロ3年目で衝撃のウインブルドン初優勝! 無理のないフォームから高速&高精度のサービスを放ったシュティッヒ【レジェンドFILE17】

スマッシュ編集部

2020.05.10

身体に負担をかけずに鋭いサービスを放ったシュティッヒのフォームは、一般愛好家も参考にしやすかった。写真:スマッシュ写真部

 ドイツのミヒャエル・シュティッヒがプロデビューしたのは1988年、20歳の時。当時としてはかなり遅いデビューとなったのは、サッカーとテニスを両天秤にかけていたからだ。そのデビューから3年後にはウインブルドン優勝を飾っているのだから、すごい才能だったことは容易に想像がつく。

 シュティッヒというと、どうしてもボリス・ベッカーの陰に隠れがちだが、全てのショットのレベルが高いオールラウンダーであり、テニス史においてもっと評価されていい選手だ。1980年代後半から90年代半ばにかけては、ベッカー、シュティッヒ、それに女子のステフィ・グラフ、アンケ・フーバーらを擁するドイツは世界のトップに君臨した。
 
 シュティッヒのサービスは、スピードがあるのはもちろん、コントロールが非常に良く、多彩な組み立てに結び付けることができた。この点はベッカーとの大きな違いと言える。

 フォーム的にも、力感はさほどないものの身体の使い方が実にしなやかで、ベッカーとは好対照。連続写真の4~8コマ目を見てもわかるように、ヒザの曲げや上体の反りが自然な範囲にとどめられており、9~10コマ目の腕の振り出しもスムーズだ。

 全体的に身体に無理のかからないフォームで、一般プレーヤーが参考にするには最適のサービスと言えるだろう。当時のテニス雑誌にも、シュティッヒのサービス写真はお手本としてよく掲載されていた。

【プロフィール】ミヒャエル・シュティッヒ/Michael Stich(GER)
1968年生まれ。ATPランキング最高位2位(93年11月)。グラドスラム通算1勝(WIM:91年)。イバニセビッチ、サンプラスらと共に90年代を代表する最速サーバーの1人。91年ウインブルドンではエドバーグ、ベッカーを下して優勝し、一躍スターダムに。決勝ではベッカーを10キロ近く上回るビッグサービスを披露し、テニス界に衝撃を与えた。全仏、全米の準優勝経験もあり、サーフェスを問わない強さを有した。ダブルスでも92年ウインブルドン、92年バルセロナ五輪で優勝している。

編集協力●井山夏生 構成●スマッシュ編集部

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