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「ヒザを曲げないほうが高く飛べる」。綿貫陽介プロが語る高速サービスの意外な極意【プロが明かすテニス上達法】

スマッシュ編集部

2020.05.18

ヒザの屈伸運動よりもタイミングを重視した綿貫陽介のサービス。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 プロテニス選手は、目の覚めるようなスピードショットをいとも簡単にたたき込む。なぜあんなボールが打てるのか? その秘訣をプロ自身に明かしてもらうシリーズ。今回は期待の若手、綿貫陽介プロがサービスのコツを教えてくれた。

「サービスは今、強化中です」と言う綿貫プロ。どこを直しているのか尋ねると、その前に伝えておきたいことがあるという。
「その人それぞれに適した力の伝え方があり、打点の位置や身体の使い方は人によって異なります。色々トライして、自分に合う方法を見つけることが大切なんです」

 つまりこれから綿貫プロが紹介するコツも、万人に当てはまるとは限らない。しっくりくる人は取り入れ、そうでない人は受け流していい――そんな心づもりで綿貫プロの強化例を聞いてほしい。

 綿貫プロが現在、取り組んでいるのは「ヒザを曲げすぎないこと」だという。
「よくヒザを深く曲げてジャンプしろと言われますが、曲げたところから高く飛ぼうとすると、すごくたくさんエネルギーを使います。それに僕の場合は、そうするとバランスを崩しやすくなる。身長の高い選手は、できるだけ身体の使い方をシンプルにして、反動でスピードを出すことが必要だと思っています」
 
 そういう考えから「ヒザの屈伸運動を少し抑えめにした」という綿貫プロ。その効果ははっきりと表れている。
「屈伸運動が少なくても、タイミングがドンピシャで合えば、前より打点が高くなっているのを感じます。意外と深くしゃがまないほうが、高くジャンプできるのかもしれません。その際に使うエネルギーも少なくて済みます」

 以前、綿貫プロはパワーを出そうとして故障したことがあるそうだ。「色々な動きを強調しすぎて、僕は腰を痛めました。それで打ち方を変えているんです」とのこと。
「今は、ヒザを曲げる量をどのくらいに抑えるか、自分の中で色々試しています。少しずつ練習でもいいサービスが増えてきましたね」

 もちろん、この方法が皆さんに合うかはわからない。ただ、パワーを出そうと思って力みがちな人は、一度試してみる価値はあるだろう。

【プロフィール】綿貫陽介/わたぬきようすけ
1998年4月12日、埼玉県生まれ。181cm、65kg、右利き。ジュニア時代に世界2位を記録し、全日本選手権も制した逸材。伸びのあるサービス、ストロークを武器にITFツアー通算5勝、19年秋には神戸でATPチャレンジャー初優勝を飾った。18~20年デビスカップ日本代表。ATPランキング最高171位(2019年3/18付)。日清食品所属。

構成●スマッシュ編集部

※『スマッシュ』2020年2月号より再編集

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