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海外テニス

再起を誓う元世界5位のアンダーソンが語る「ケガとの戦い」「下位選手救済」、そして「日本のジュニア」について【海外テニス】

内田暁

2020.05.19

ベテランらしくマイペースで再起の準備を進めているアンダーソンは「自分を信じること」の大切さを口にした。(C)GettyImages

ベテランらしくマイペースで再起の準備を進めているアンダーソンは「自分を信じること」の大切さを口にした。(C)GettyImages

 不要不急の外出を禁ずる『ロックダウン』が米国・フロリダ州で発令されたのは、彼がテニスコートに戻ってから、5日しか経っていない日のことだった。

 長く苦しめられてきた右ヒザの痛みを取り除くべく、患部にメスを入れたのが2月中旬。手術からの回復とリハビリは順調で、4月末のクレーシーズンから復帰すべく、本格的に練習を再開した矢先の出来事である。
 
 この1年間、ケビン・アンダーソンが主に戦ってきた相手は、ケガだったと言えるだろう。昨シーズン序盤はヒジを痛め、望むプレーができない時期が続いた。シーズン中盤にはヒザを負傷し、ウインブルドンを最後にツアーを離れている。

 昨年2月に5位だったランキングは、1年後には120位代まで下降。年齢も、34歳の誕生日が近づきつつあった。

 それでも、過去にもヒザの故障から復帰し、30歳を超えた後に2度のグランドスラム決勝にも達した彼は、この未曾有の状況下でも、どこか泰然自若として構えていた。

「いつツアーが再開するかわからない中では、練習やトレーニングだけでなく、身体と心を休めることも重要。今は家族との時間も大切にしているんだ。この競技をこれだけ長くやってきているのだから、不安や焦りはそれほどないかな」
 
 昨年9月に誕生した第一子と過ごす時間も、新鮮な喜びなのだろう。

「娘は、日々成長しできることが増えていくので、それを見られるのは、僕にとって非日常的なことなんだ。あとは…、キッチンに立つ時間が長くなったかな。特にロックダウンが始まった最初の数週間は、普段はほとんど料理をしないので、レシピブックを見ながら料理してたよ」

 そう照れくさそうに明かす顔は、完全に父親、そして夫のそれである。

 同時に彼には“ATP(男子プロテニス協会)選手評議会副会長”としての役割も、このツアー中断中に多く求められていた。 

 中でも最大の議題が、評議会会長のノバク・ジョコビッチが提唱した『選手救済基金』である。ジョコビッチが明かしたプランとは、シングルストップ100、ダブルストップ20位の選手からランキングに応じた金額を寄付として集め、それを250位以下の選手たち400~500人に再分配するというものだ。
 
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