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海外テニス

憧れのナダルに全米で健闘したイタリアのベレッティーニ。毎日食べたパスタのメニューとシンクロする彼の性格

内田暁

2019.09.07

全米オープン準決勝でナダルに挑んだイタリアのベレッティーニ。写真:山崎賢人(スマッシュ写真部)

全米オープン準決勝でナダルに挑んだイタリアのベレッティーニ。写真:山崎賢人(スマッシュ写真部)

全米オープン男子シングルス準決勝/9月6日(現地時間)
R・ナダル(ESP) 7-6(6) 6-4 6-1 M・ベレッティーニ(ITA)
 
 初めて、ラファエル・ナダルの存在を知ったのは9歳の日。ローマ・マスターズの決勝戦を、テレビで見た時だった。とはいえ、テレビのチャンネルを合わせたのは、ナダル対コリア戦が見たかったからではない。本来そのチャンネルは、アニメを放送しているはずだったのだ。だから彼は、試合をというよりも、その後に始まるアニメを見るため、チャンネルを変えずにいた。だが試合は、いつまで経っても終わる気配はない。そのうち彼は、5時間以上におよぶその熱戦を、食い入るように見ていた。

 翌日学校に行くと、クラスメイトたちも同じ理由でテレビ中継を見たのだろう。友人たちの間でテニスは、ちょっとした話題になっていた。「君もあのスポーツをやっているの?」。級友にそう問われ、「そうだよ。僕の夢は、いつかあんな試合をやることなんだ」と答える。

 それから、14年後――。ローマに生まれ育った少年は、世界最大のテニスコート“アーサー・アッシュ・スタジアム”に立つ。対戦相手は、ラファエル・ナダル。マテオ・ベレッティーニにとってそれは、子どもの頃に見た夢への入り口だった。
 テニスを本格的に始めたのは、ナダルの試合を見るよりも1年前。それまでは、サッカーや柔道など多くのスポーツに親しんでいたが、弟に「もっとテニスをやろうよ」と請われて、真剣に打ち込むようになる。確かに196センチ、90キロのしなやかな巨躯は、柔道をやっていても大成したのではと思わせるほど。テニスコート上でその長身は、時速130マイルを常時計測するビッグサービスを可能にせしめ、柔らかなタッチはドロップショットやボレーで発揮された。

 ナダル戦でもベレッティーニは、第1セットから勇敢に、ピンチの時ほどドロップショットやボレーを決めた。幾度もブレークポイントを凌ぎ、もつれこんだタイブレークでもドロップショットからボレーにつなげ、セットポイントをつかむ。だが次のポイントでは、渾身のフォアのアプローチショットがネットをかすめて、ナダルの反撃を許すことに。そこから4ポイント連続で失い、1時間13分を要した第1セットは、ナダルの手に渡った。

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