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サービスでよくあるアドバイスの落とし穴。「横向きで打つ」って正しい?/2【テニスレッスン】

スマッシュ編集部

2020.07.22

若手有望株アニシモワのサービス。最初は身体が横を向いているが、打点では前を向いている。写真:THE DIGEST写真部

 テニスのショットの中でもサービスのスイングは難易度が高く、個性的なフォームで打つ人もいる。だからこそ、色々なアドバイスを耳にする。しかしその中には、あまり意味のないものや、かえって上達の妨げになっているものもある。大森豊プロに、よく聞くアドバイスは、本当に正しいのか間違った常識なのか、教えてもらった。

■よく聞くアドバイス【サービスは横を向いて打つ】

「サービスを習った時『しっかり横を向いて打って』と言われたことが皆さんもあるでしょう。確かにテイクバックでは横を向くのが正しいですが、スイングに伴って上体を回していき、インパクトでは前方を向くのが現代の基本です。もっと細かく言うと、腰は少し残しながら、胸はほぼ正面に向けるようにします(フラットの場合)」

 アドバイス自体は間違ってはいないが、ずっと横を向いているのではなく、途中から身体を回していく必要があるということ。アドバイスの正確な意図を理解していないと、間違ったフォームになってしまいがちな例だ。
 
 では、なぜずっと横向きではいけないのだろうか。「打つ時まで横向きを維持すると、右肩が後ろに残り、腕がロックされてしまいます。上体を回し、右肩を打球方向に出すことで、腕も制限なく前に振れるようになるのです。前を向く最大の目的は、スイング幅の確保にあります。

 ただし、球種によって前向き加減は多少異なります。スピン系のサービスでは回しすぎないようにして、腰も胸も斜め向き程度にとどめます。要は、スピード重視ならより前向き、安定性を上げたいなら横向きの度合いを強くするということです」

 速いサービスが打てないと悩んでいる人は、もしかしたら身体を前に回していくことができていないのかもしれない。アドバイスの全てを鵜呑みにせず、自分に合っているものか、意図は何なのかを理解して、フォーム改善に取り組もう。

解説=大森豊(TENNIS SUNRISE校長)
国内ツアーのダブルスで優勝20回以上、JOP最高14位をマークした元プロテニスプレーヤー。引退後は香港ナショナルチームコーチを務め、現在は都内で自ら複数のスクールを運営する。豊かなアイデアとコツをうまく教える指導法が好評。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2019年9月号から抜粋・再編集

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