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海外テニス

錦織圭も太鼓判を押すジュニア世界1位の望月慎太郎。あらゆるサーフェスで力を発揮する強さの根本にあるものは?

内田暁

2019.11.07

16歳ながら、グランドスラムジュニア本戦2大会目で優勝した望月慎太郎。写真:山崎賢人(スマッシュ写真部)

16歳ながら、グランドスラムジュニア本戦2大会目で優勝した望月慎太郎。写真:山崎賢人(スマッシュ写真部)

 ウインブルドン・ジュニア優勝者――。

 望月慎太郎という16歳のテニスプレーヤーを語るうえで、今や、この肩書を外すことはできないだろう。しかも、今年の6月まで芝でのプレー経験は一切なく、ウインブルドンが芝での3大会目ということを考慮すれば、その殊勲は一層の輝きを増す。

 だがもう一点特筆すべきは、彼が今年の全仏オープンジュニアでも、ベスト4に入っている事実だ。芝では果敢なネットプレーで攻める望月が、クレーでは緩い球や角度を付けた短いボールも織り交ぜ、ベースラインで粘り強く戦っていた。

 多彩で適応力が高く、そして頭脳的。175センチの小柄な身体で、相手を翻弄するその痛快なプレースタイルは、13歳にして“盛田正明テニスファンド”の支援を得て渡った、IMGアカデミーでの原体験に根ざしたものだ。

「海外に来て、パワーでは確実に勝てないと思いました。特に始め頃は、全然勝てなくて。なら、どうしたら勝てるかなというのを、IMGの山中(夏雄)コーチともよく話をしました。コーチからアドバイスをすごくもらって、自分でも考えながら、ワイドへのサーブや、いろんなショットを使って工夫しながら戦うしかないって思いました。それでも、なかなか勝てなかったですが、今勝つことよりも、将来を見据えて取り組んできました」
「先を見据えた取り組み」が実を結び始めたのは、渡米から1年ほど経ったころ。ジュニアの登竜門であるオレンジボウルとエディーハー国際の14歳以下を、いずれも制した時だ。

「何がおきているんだ? なんで、僕はここにいるんだ……?」。オレンジボウル優勝時には、状況が理解できず戸惑いも覚えたという。だがその彼が、先の全仏オープンジュニアでは、「世界の一番になりたくて来ているので、こんなところで負けていられない」と確固たる口調で明言するまでになった。今は、グランドスラムだろうが何だろうが、「出る大会には全て勝ちたい」と断言する。

 ジュニア選手の多くは、グランドスラム会場に来ると、「子どもの頃に憧れていた場所」などの高揚感を口にするが、望月はそうではない。それは対戦する選手たちが、すでによく知った顔だからだろう。全仏オープンジュニアの準決勝で破れたコダットや、ウインブルドンジュニアの準決勝で勝ったダムにしても、同じIMGアカデミーで日頃から練習をともにする同期だ。

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