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国内テニス

日比野菜緒がツアー単複2冠!土居美咲の背中を追いかけ、共につかんだ再上昇への兆し

内田暁

2019.09.16

1997年以来のWTAツアー日本人同士の決勝となった花キューピットオープン2019。会場には多くのファンが集まった。写真:安藤晃

1997年以来のWTAツアー日本人同士の決勝となった花キューピットオープン2019。会場には多くのファンが集まった。写真:安藤晃

【花キューピットオープン】
決勝/9月15日(日)
■シングルス
日比野菜緒(JPN)6-3 6-2 土居美咲(JPN)
■ダブルス

土居美咲/日比野菜緒(JPN)3-6 6-4 10-4 C・マクヘイル(USA)/V・サビンスキ(RUS)


 日比野が握手のために伸ばした手を、土居はすりぬけ、代わりに伸ばした手で日比野の肩を抱きよせた――。
 広島開催の花キューピットオープンで実現した、22年ぶりの日本人ファイナル。その頂上決戦を制したのは、土居を姉のように慕う、3歳半年少の日比野だった。
 
 ともに、2015年にツアー初タイトルを手にした日比野と土居は、それ以来となるツアー優勝を掛けての戦い。両者の対戦は過去4度あり、2勝2敗で星を分け合う。なお直近の対戦は、約1年前の全米オープン予選初戦で、その時は日比野がストレートで勝利していた。
 
 決勝戦のコートに足を踏み入れた時、表情に緊張の影をより濃く落としていたのは、日比野の方だ。
 対して、試合をするごとに調子をあげてきた土居の、フットワークと左腕のスイングは鋭い。まずは自分のゲームを危なげなくキープすると、続くゲームでは自慢のフォアでボールを打ち抜き、客席のどよめきを引き出しながらポイントを奪っていく。土居がいきなりブレークし、主導権を握ったかに思われた。
 だがこの時の日比野に、それほど焦りや落胆はなかったという。
 彼女が、「朝から、準決勝とは比べ物にならないくらい緊張していた」のは確かだった。ただ、自身が緊張することを想定していた日比野は、その中でプレーする自分を十分にイメージしてから、試合に挑んでいたという。

 だからこそ、早々のブレークダウンにも気落ちせず、すぐに土居の背を追った。第3ゲームを取り返し追いつくと、ゲームカウント3-3からの土居のサービスゲームを、日比野は2度のデュースの末にブレークした。どれだけ攻められても走り、ボールに食らいつき、一球でも多く相手コートへと打ち返す。日比野のバックが強いことを知る土居はフォアサイドを攻めるが、それに対しても日比野は、スピンやスライスを織り交ぜながら返球し、逆に土居を前後左右に揺さぶった。

 実はこのフォアのバリエーションこそが、最近、日比野が自分の成長を感じている部分でもある。「みんな私のフォアを攻めてくるから、自然と鍛えられた」という技術面の向上が、日比野のテニスの基盤を、一層盤石なものとしていた。
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