海外テニス

夢半ばで精神疾患に苦しんだ元世界4位のソダーリングが、同じ病に苦しむ人のために送るメッセージ

スマッシュ編集部

2020.08.27

テニス選手のみならず、世界中の頑張っている全ての人々にメッセージを送るソダーリング。(C)Getty Images

 2009年、ローランギャロスで31戦無敗だったナダルに初めて土をつけた男、ロビン・ソダーリング。翌年にはランキングを自己最高の4位にまで引き上げたビッグフォアのスウェーデン人は、2011年7月にこの年4つ目のタイトルを獲得した直後、突如として表舞台から姿を消す。一時はカムバックの噂もあったが、結局ツアーに戻ることはなく、31歳だった2015年に引退を正式発表した。

 あれから4年半経ったいま、ソダーリングが切実な思いをATP公式サイトに寄せている。引退理由として知られているのは伝染性単核症だが、それと同時に、またその後も長く闘ってきた精神疾患について、同じように苦しむ人たちを助けたいという一心で書かれたものだ。

 2011年、優勝したボスタッドの大会中にそれは突然やってきたという。
「その週はずっと調子が悪かった。自分を落ち着かせる方法が見つからず、毎晩数時間しか眠れなかった。でも、テニスには何の影響もなかった。1セットも失うことなくタイトルを獲得できたんだ。

 次の大会まで数週間あった。しかし、リラックスすればするほど、気分は悪くなっていった。体はある種のサバイバルモードに入っていて、リラックスしていると精神的な問題が表面化してくる。身体的な症状だけでなく、精神的な症状も含めて、自分の身体を酷使しすぎているという警告をたくさん発していた」
 
 さらに「問題は免疫システムから始まった。風邪をひいたり、喉の痛みや熱が出た。めまいがしたり、眠れなくなったりすることもあった。それでも自分が壊れることは絶対にないと思っていた。

 自分の身体の声に全く耳を傾けていなかった私は、バーンアウトするには最適な人間だったんだ。自分の限界に挑み、それを超えていた。完璧を求めることとは、つまり自分の健康よりも結果を優先することだったのだから。

 やがて、蓄積していたストレスを実感するようになった。一晩で全く別人になってしまった。ひどい不安とパニック発作に悩まされた。自分に何が起こっているのかも全くわからなかった」と当時の状況について率直に語った。
 
NEXT
PAGE
「自分と向き合って、大丈夫だと自分に言い聞かせないで――」