「ニュー・ノーマル」
新型コロナの感染拡大以来、世界中でこのフレーズが叫ばれて久しいが、テニスの世界では今も半年前と変わらぬ、一つの秩序がありそうだ。
王者ノバク・ジョコビッチの支配――。
5カ月ぶりに再開したATPツアー大会のウェスタン・サザンオープンも、終わってみれば制したのはジョコビッチだった。自身が企画した“アドリア・ツアー”で本人を含む複数の感染者を出して物議をかもしたり、ウェスタン・サザンオープン準決勝では敗戦間際まで追い込まれたが、それでも最後にトロフィーを掲げたのは、世界1位のこの男。決勝で破れたミロシュ・ラオニッチも、「ノバクは、僕よりボールを多くコートに打ち返すという、いつもの手法で勝利を掴んだ」と、ジョコビッチの変わらぬ強さを讃えた。
これで今季は負け知らずの23連勝。ラファエル・ナダルに並ぶ、マスターズ1000通算35個目の最多タイトルを手に、全米オープンへと向かっていく。
ナダルやロジャー・フェデラーも不在の今回の全米オープンで、ジョコビッチが圧倒的な優勝候補であることは揺らがない。そこに挑むのは、全豪オープン決勝でジョコビッチと死闘を演じたドミニク・ティームや、ステファノス・チチパスら新世代。ウェスタン・サザンオープンで完全復活を印象づけたラオニッチも、優勝争いに絡んできそうな機運だ。特に今年の全米オープン会場のコートは、多くの選手が「例年より速い」と口をそろえる。ビッグサーバーが台風の目になる可能性も十分にあるだろう。
日本勢では、8月に入って新型コロナに感染した錦織圭が、残念ながら欠場に。それでも西岡良仁、杉田祐一、内山靖崇、さらにダニエル太郎に添田豪と、5人もの男子選手たちがシングルス本戦に出場する。
杉田と内山、そしてダニエルはウェスタン・サザンオープンの予選から出場しているため、すでに会場とホテルでの“バブル”滞在は2週間に達する。ニュー・ノーマルとしての生活環境やコートに慣れる意味ではアドバンテージだが、一方で、制約の多い中での調整力が問われた時間でもあったはずだ。
ジュニア育成のためのプロジェクトを立ち上げ、新たな視野も獲得したであろう杉田、経験豊富なスベン・グロネフェルトをコーチにつけ、攻撃力に磨きをかけてきたダニエル、全米オープン本戦初出場ながら、前哨戦の予選で好プレーを見せた内山――それぞれが各々の手法で心身を整えつつ、開幕の日を迎える。
新型コロナの感染拡大以来、世界中でこのフレーズが叫ばれて久しいが、テニスの世界では今も半年前と変わらぬ、一つの秩序がありそうだ。
王者ノバク・ジョコビッチの支配――。
5カ月ぶりに再開したATPツアー大会のウェスタン・サザンオープンも、終わってみれば制したのはジョコビッチだった。自身が企画した“アドリア・ツアー”で本人を含む複数の感染者を出して物議をかもしたり、ウェスタン・サザンオープン準決勝では敗戦間際まで追い込まれたが、それでも最後にトロフィーを掲げたのは、世界1位のこの男。決勝で破れたミロシュ・ラオニッチも、「ノバクは、僕よりボールを多くコートに打ち返すという、いつもの手法で勝利を掴んだ」と、ジョコビッチの変わらぬ強さを讃えた。
これで今季は負け知らずの23連勝。ラファエル・ナダルに並ぶ、マスターズ1000通算35個目の最多タイトルを手に、全米オープンへと向かっていく。
ナダルやロジャー・フェデラーも不在の今回の全米オープンで、ジョコビッチが圧倒的な優勝候補であることは揺らがない。そこに挑むのは、全豪オープン決勝でジョコビッチと死闘を演じたドミニク・ティームや、ステファノス・チチパスら新世代。ウェスタン・サザンオープンで完全復活を印象づけたラオニッチも、優勝争いに絡んできそうな機運だ。特に今年の全米オープン会場のコートは、多くの選手が「例年より速い」と口をそろえる。ビッグサーバーが台風の目になる可能性も十分にあるだろう。
日本勢では、8月に入って新型コロナに感染した錦織圭が、残念ながら欠場に。それでも西岡良仁、杉田祐一、内山靖崇、さらにダニエル太郎に添田豪と、5人もの男子選手たちがシングルス本戦に出場する。
杉田と内山、そしてダニエルはウェスタン・サザンオープンの予選から出場しているため、すでに会場とホテルでの“バブル”滞在は2週間に達する。ニュー・ノーマルとしての生活環境やコートに慣れる意味ではアドバンテージだが、一方で、制約の多い中での調整力が問われた時間でもあったはずだ。
ジュニア育成のためのプロジェクトを立ち上げ、新たな視野も獲得したであろう杉田、経験豊富なスベン・グロネフェルトをコーチにつけ、攻撃力に磨きをかけてきたダニエル、全米オープン本戦初出場ながら、前哨戦の予選で好プレーを見せた内山――それぞれが各々の手法で心身を整えつつ、開幕の日を迎える。