国内テニス

ニックネーム「シンカンセン」のような勝利!大坂なおみを研ぎ澄ませた、”あのショット” のクオリティの高さ

内田暁

2019.09.21

1日に2試合行なうハードスケジュールの中、ストレートで勝利を挙げた大坂なおみ。(C)Getty Images

【東レ・パン・パシフィック・オープン】
シングルス準々決勝・準決勝/9月21日(土)
〇準々決勝 大坂なおみ[1] 6-4 6-4 Y・プチンツェワ

〇準決勝  大坂なおみ[1] 6-4 6-1  E・メルテンス[9]

 「全く異なるタイプの選手との2試合」は、彼女のプレーの幅の広がりと、ハードコートでの強さを物語っていた。
 
 ユリア・プチンツェワは大坂にとり、過去3戦全敗の相手。今年は芝で2度対戦し、いずれも相手のスライスやドロップショットに、リズムを崩されミスを量産した。

 苦手意識が、なかったはずはないだろう。それでも「過去の対戦で多くを学んだ」という大坂は、我慢強かった。それは試合の最初のポイントから、すぐに見ることのできた平静だ。焦らず、じっくり打ち合い、オープンコートを作ってから、フォアの強打をクロスに打ち込む。やや遅めのハードコートが、彼女に自信を与えているようだった。

 対するプチンツェワは、過去の大坂戦で効果的だったスライスを多用するが、ネットにかかることが多い。ラケットを投げるなど、あからさまな苛立ちを見せるのは、プチンツェワの方。過去の対戦とは対象的な両者の姿は、そのまま、スコアも過去のそれとは反転させる。第1セットは5-1のリードから、やや攻め方を変えた相手に追い上げられるが、5-4からブレークして突き放す。
 第2セットも、第1セットと似た展開。ラリーを組み立てつつ最後は左右の強打でポイントを重ね、そのたびに満席の客席から驚嘆のため息と喜びの歓声を生んだ。マッチポイントの1つ手前で相手が足首を捻り転倒した際には、すぐにタオルを手に駆け寄り相手を労る場面も。心のゆとりも示しながら、まずはダブルヘッダーの1戦目を勝ち上がった。

 その勝利の約2時間後に始まった準決勝は、プチンツェワ戦とは大きく様相の異なる試合の景色となる。メルテンスは同じコースに続けてボールを打つことがほとんどなく、クロスからダウンザラインに、あるいは逆クロスからストレートへと次々に展開してくる。リターンゲームでも、大坂のサービスが少しでも甘くなれば、見逃さずに鋭く叩いてきた。