国内テニス

第1シードの日比野菜緒はストレート勝ちで好発進。元全日本女王6人のうち4人が敗れる【全日本テニス】

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2020.10.29

初優勝を狙う日比野菜緒は順当に初戦を突破(左)。元女王の森田あゆみは全日本復帰戦を白星で飾れなかった(右)。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

「三菱 全日本テニス選手権95th」は10月28日、東京・有明テニスの森公園の新設インドアコートで開幕。女子シングルス1回戦には、世界ランキング71位の日比野菜緒が第1シードとして登場した。

 国内トップクラスの実力を持ちながら、まだ全日本のタイトルがない日比野は、6年ぶりに出場。「私の中で全日本のタイトルは昔から大きい。毎年出たいけれどツアーとの調整ができず、今回出られてうれしい」と心中を語る。過去3回は2回戦敗退だが、「あまり成績が良くないぶん、失うものは何もないという気持ち」で小関みちかとの初戦に臨んだ。

 日比野は先の全仏オープンでも見せた、多彩な球種を交ぜたテニスを展開。強打のみならず、弾道の高いスピンや低いスライス、ネットプレーなど、時間と空間を駆使して相手を揺さぶり、6-2、6-3で快勝した。「フィジカルや技術よりも心の準備を心掛けた」との言葉通り、冷静な試合運びが光った。

 例年、全日本は一度優勝すると敬遠する選手が多いが、今年は海外ツアーに出にくいこともあって、6人の元全日本女王が有明に集結した。13年優勝の穂積絵莉、昨年優勝の本玉真唯は勝ち上がったが、桑田寛子(15年)、大前綾希子(16年)、今西美晴(17年)は早くも敗退。
 
 もう1人の元女王・森田あゆみ(05年)は13年ぶりに出場し、同じ丸山淳一コーチに師事する19歳のホープ、内藤祐希といきなり当たり、注目を集めた。長年ケガに悩まされた森田は、まだ「フォアをハードヒットした時に手首に痛みが出る」という状態。プレーを見ても以前ほどの豪打は減り、組み立てでポイントを取る場面が目立った。

 内藤は1stサービスが入らず、「6割ぐらいの出来」と言いながらも、厚い当たりのスピンとコートを広く使った配球でゲームの主導権を握り、ストレートで勝利。森田は敗れたものの「今の自分の力は全て出し切れたので、次につながる試合」と前を向いた。

【女子シングルス1回戦の結果】
○穂積絵莉(日本住宅ローン) 6-3 7-5 坂詰姫野(橋本総業HD)●
○上田らむ(ノア・インドアステージ) 6-4 6-2 今西美晴(アートフロンティア)●
○日比野菜緒(ブラス)[1] 6-2 6-3 小関みちか(橋本総業HD)●
○波形純理(伊予銀行)[8] 7-5 6-3 清水映里(早稲田大学)●
○加治遥(島津製作所)[5] 7-6(4) 4-6 10-6 加藤未唯(ザイマックス)[W] ●
○本玉真唯(島津製作所)[4] 2-6 6-4 10-0 佐藤南帆(慶應義塾大学)●
○牛島里咲(マサスポーツシステム) 6-3 6-3 平田歩(慶應義塾大学)[W] ●
○鮎川真奈(エームサービス) 6-2 5-7 11-9 光崎楓奈(h2エリートテニスアカデミー)●
○美濃越舞(安藤証券) 6-4 6-4 荒川晴菜(アオヤマスポーツ)●
○本藤咲良(マサスポーツシステム) 7-5 1-6 10-3 桑田寛子(島津製作所)●
○山口芽生(橋本総業HD) 6-3 6-3 大前綾希子(島津製作所)[3] ●
○内藤祐希(亀田製菓)[2] 6-3 6-4 森田あゆみ(安藤証券)●
○佐藤久真莉(富士薬品)[W] 6-2 2-6 12-10 小堀桃子(橋本総業HD)[6] ●
○秋田史帆(橋本総業HD) 6-2 6-1 林恵里奈(福井県スポーツ協会)[7] ●
○井上雅(テニスラウンジ) 6-4 6-2 森崎可南子(橋本総業HD)●
○瀬間詠里花(橋本総業HD) 6-2 6-0 華谷和生(三浦工業)●

取材・文● 渡辺隆康(スマッシュ編集部)

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