少女時代から良く知る友人が、その時々で立場を入れ替え、戦いの舞台を世界に移しながらも、未だ身近にライバルとして存在するというのは、どのような心持ちだろうか……?
日比野菜緒にとって穂積絵莉は、かつて、常に自分の先を行く存在だった。
ジュニア時代からナショナルチームに選ばれ「エリート」として活躍する穂積に、強い嫉妬を抱いたこともある。高校時代にオーストラリアに留学したり、大学進学を視野に入れたのも、どこかで同期のライバルへの対抗心や、気後れがあったからだ。
その穂積は19歳で全日本テニス選手権を制し、同期の出世頭としての存在感を示す。
ただ、20歳を超えて世界を主戦場とした頃からは、シングルスでツアー2勝を誇る日比野が、馬群から抜け出した。
現在の世界ランキングは、日比野が71位で、穂積は373位。
その2人が、今年は久々に揃って全日本選手権に出場し、2回戦で相まみえた。
今の地位こそ以前とは入れ替わったが、日比野は穂積との対戦を、「実力がある選手なのはわかっているので、やりにくさはある」と率直に言う。
「私も彼女もバックハンドが得意で、フォアハンドにちょっと苦手意識があるのは、お互い昔から知っていること。フォアハンドのループを、どちらが先に入れて展開できるかのやり取りになる」
果たして試合は、戦前に抱いていたそのような予想通りの運びとなった。
序盤は、日比野が緩急をつけ相手のミスを誘ったが、徐々に穂積がスピンの効いたフォアを打ち分け、ネットに出たり前のスペースを使うなど、プレーに変化をつけてくる。
それでも全体で見れば、主導権を握っていたのは日比野。だが「実力がある選手」という相手への警戒心が、彼女の内面に焦りと消極性を生んだだろう。
第1セットこそ、穂積の追い上げを振り切った日比野だが、第2セットは立ち上がりでリードを許し、そのまま一気に走られる。
そうしてもつれ込んだ第3セットでも、日比野の劣勢は続いた。ブレークを許し、直後に追いつくも、またもブレークの危機に瀕死した第5ゲーム。そのしびれる局面で、日比野はセカンドサービスながら、サーブ&ボレーを鮮やかに決めてみせた。
日比野菜緒にとって穂積絵莉は、かつて、常に自分の先を行く存在だった。
ジュニア時代からナショナルチームに選ばれ「エリート」として活躍する穂積に、強い嫉妬を抱いたこともある。高校時代にオーストラリアに留学したり、大学進学を視野に入れたのも、どこかで同期のライバルへの対抗心や、気後れがあったからだ。
その穂積は19歳で全日本テニス選手権を制し、同期の出世頭としての存在感を示す。
ただ、20歳を超えて世界を主戦場とした頃からは、シングルスでツアー2勝を誇る日比野が、馬群から抜け出した。
現在の世界ランキングは、日比野が71位で、穂積は373位。
その2人が、今年は久々に揃って全日本選手権に出場し、2回戦で相まみえた。
今の地位こそ以前とは入れ替わったが、日比野は穂積との対戦を、「実力がある選手なのはわかっているので、やりにくさはある」と率直に言う。
「私も彼女もバックハンドが得意で、フォアハンドにちょっと苦手意識があるのは、お互い昔から知っていること。フォアハンドのループを、どちらが先に入れて展開できるかのやり取りになる」
果たして試合は、戦前に抱いていたそのような予想通りの運びとなった。
序盤は、日比野が緩急をつけ相手のミスを誘ったが、徐々に穂積がスピンの効いたフォアを打ち分け、ネットに出たり前のスペースを使うなど、プレーに変化をつけてくる。
それでも全体で見れば、主導権を握っていたのは日比野。だが「実力がある選手」という相手への警戒心が、彼女の内面に焦りと消極性を生んだだろう。
第1セットこそ、穂積の追い上げを振り切った日比野だが、第2セットは立ち上がりでリードを許し、そのまま一気に走られる。
そうしてもつれ込んだ第3セットでも、日比野の劣勢は続いた。ブレークを許し、直後に追いつくも、またもブレークの危機に瀕死した第5ゲーム。そのしびれる局面で、日比野はセカンドサービスながら、サーブ&ボレーを鮮やかに決めてみせた。