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国内テニス

「やっぱり94年生まれは一生のライバル!」日比野菜緒がフルセットの末に穂積絵莉を破りベスト8進出【全日本テニス】

内田暁

2020.10.29

「タフな試合になるのはわかっていた」少女時代から知るライバルとの接戦を制した日比野が準々決勝に駒を進めた。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

「タフな試合になるのはわかっていた」少女時代から知るライバルとの接戦を制した日比野が準々決勝に駒を進めた。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 少女時代から良く知る友人が、その時々で立場を入れ替え、戦いの舞台を世界に移しながらも、未だ身近にライバルとして存在するというのは、どのような心持ちだろうか……?

 日比野菜緒にとって穂積絵莉は、かつて、常に自分の先を行く存在だった。

 ジュニア時代からナショナルチームに選ばれ「エリート」として活躍する穂積に、強い嫉妬を抱いたこともある。高校時代にオーストラリアに留学したり、大学進学を視野に入れたのも、どこかで同期のライバルへの対抗心や、気後れがあったからだ。

 その穂積は19歳で全日本テニス選手権を制し、同期の出世頭としての存在感を示す。

 ただ、20歳を超えて世界を主戦場とした頃からは、シングルスでツアー2勝を誇る日比野が、馬群から抜け出した。

 現在の世界ランキングは、日比野が71位で、穂積は373位。

 その2人が、今年は久々に揃って全日本選手権に出場し、2回戦で相まみえた。
 
 今の地位こそ以前とは入れ替わったが、日比野は穂積との対戦を、「実力がある選手なのはわかっているので、やりにくさはある」と率直に言う。

「私も彼女もバックハンドが得意で、フォアハンドにちょっと苦手意識があるのは、お互い昔から知っていること。フォアハンドのループを、どちらが先に入れて展開できるかのやり取りになる」

 果たして試合は、戦前に抱いていたそのような予想通りの運びとなった。

 序盤は、日比野が緩急をつけ相手のミスを誘ったが、徐々に穂積がスピンの効いたフォアを打ち分け、ネットに出たり前のスペースを使うなど、プレーに変化をつけてくる。

 それでも全体で見れば、主導権を握っていたのは日比野。だが「実力がある選手」という相手への警戒心が、彼女の内面に焦りと消極性を生んだだろう。

 第1セットこそ、穂積の追い上げを振り切った日比野だが、第2セットは立ち上がりでリードを許し、そのまま一気に走られる。

 そうしてもつれ込んだ第3セットでも、日比野の劣勢は続いた。ブレークを許し、直後に追いつくも、またもブレークの危機に瀕死した第5ゲーム。そのしびれる局面で、日比野はセカンドサービスながら、サーブ&ボレーを鮮やかに決めてみせた。
 
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