国内テニス

第1シードの日比野菜緒、18歳の佐藤久真莉らが4強入り。第2シードの内藤祐希はまさかの途中棄権【全日本テニス】

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2020.10.30

第1シードの日比野菜緒(左)、ワイルドカードの佐藤久真莉(右)とも、初の全日本ベスト4入り。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

「三菱 全日本テニス選手権95th」は10月30日、東京・有明テニスの森公園の新設インドアコートで、男女シングルス準々決勝が行なわれた。

 女子の第1シード、世界ランキング71位の日比野菜緒は牛島里咲と対戦。「すごくいいプレーをしてきて、最後までカウンターがすごく、ランキング以上の実力がある」と日比野が評した通り、牛島は的を絞らせないプレーで善戦した。

 しかし単調な打ち合いをせず、ムーンボールからネットを奪うなど、多彩な攻めを見せた日比野が、要所を押さえてストレート勝ち。「とにかく集中を切らさず、自分から攻撃しようと思った。その攻撃力が少し彼女より上回った」と勝因を振り返った。

 明暗を分けたのは第2シードの内藤祐希だ。秋田史帆と対戦した内藤は、右肩痛から満足にスイングできず、第1セットを0-6で落とすと、第2セットに入ってすぐに棄権した。1週間前から肩が上がらず、薬で抑えていたが「試合中に痛み始めて、今は右肩を使う全ての動作で痛みがある」と状態を説明した。

 拍子抜けの勝利を手にした秋田だが、彼女のプレーが非常に良かったのも事実だ。「今年は異例の大会で、ドローを見てもレベルが高い。全日本は優勝したい気持ちも大きいが、このレベルの高い中で試合できる機会は貴重なので、成長していく上で大事な位置づけの大会」と言う。去年そして17年準優勝の秋田にとって、全日本Vは悲願のはずだが、結果にこだわらず自分のテニスを見つめている。
 
 今大会最年少、18歳の佐藤久真莉もベスト4進出を果たした。経験豊富な美濃越舞と見応えのあるストローク戦を展開。スピンとフラットを交ぜる美濃越に対し、第1セットは「バックの高い所にスピンを打たれ、下がりきれずにミスが出た」という佐藤だが、第2セット以降はポジションを修正し、「しっかりバックを打って、フォアで攻める形に持っていけた」と、作戦通りの逆転勝ち。初出場での4強入りに「結構びっくりしているが、自分のプレーができているので、すごい驚いてるわけじゃない」と口も滑らかだった。

【女子シングルス準々決勝の結果】
○日比野菜緒(ブラス)[1]  6-2 6-4 牛島里咲(マサスポーツシステム)●
○秋田史帆(橋本総業HD) 6-0 Ret. 内藤祐希(亀田製菓)[2] ●
○佐藤久真莉(富士薬品)[W]  6-4 4-6 6-0 美濃越舞(安藤証券)●
○本玉真唯(島津製作所)[4]  7-6(5) 6-2 波形純理(伊予銀行)[8] ●

取材・文● 渡辺隆康(スマッシュ編集部)

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