国内テニス

第1シードの清水悠太が山崎純平に敗れる波乱。今村昌倫が学生でただ1人ベスト4入り【全日本テニス】

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2020.10.30

トップシードを下した山崎純平(左)と、先輩を破った学生の今村昌倫(右)。共に初の4強入りだ。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

「三菱 全日本テニス選手権95th」は10月30日、東京・有明テニスの森公園の新設インドアコートで、男女シングルス準々決勝が行なわれた。

 男子では昨年の準優勝者で第1シードの清水悠太が、第8シードの山崎純平にストレートで敗れる波乱があった。スピンの利いたボールを左右に散らす山崎に対し、清水は前に入ってたたく形を多く作ったが、タイミングが微妙に合わないようで、いつになくミスを量産。

「粘りながら第1セットを取ったら、相手の集中力が第2セットで切れかけた。そこで一気に行けた」と山崎はその隙を逃さない。ストレートで押し切り、去年敗れた清水に雪辱を果たした。「今年はサービスが安定していたので、競った中でもサービスポイントが取れ、去年より余裕があった」と、自身の成長した部分を勝因に挙げた。

 ワイルドカード同士の対戦となったのが、上杉海斗対今村昌倫。2人は清風高校、慶應義塾大の先輩後輩で、プロの上杉が大学4年の今村より3つ上にあたる。それ故に「僕はチャレンジャー精神で思い切ってプレーできた」と語る今村が、溌剌とコートを駆け回った。基本的に攻めるのは上杉だが、今村はそれをガッチリと受け止め、カウンターで逆襲したり、深い返球で押し戻す。

「(相手が)打ってくるのはわかっていたので、それを1本多く返せばといいと、我慢強くいったのが良かった」と今村。球威と安定性をバランス良く兼ね備えた今村のストロークに、上杉は先にミスを犯し、ストレートで後輩に軍配が上がった。「ベスト4とか考えず、一戦一戦自分のプレーをしようと思った結果」と初の4強入りを喜んだ。
 
 アメリカのIMGアカデミーで腕を磨いてきた2人、中川直樹と内田海智の対戦は、中川がフルセットで勝利。ヒジや手首のケガに長く苦しんできた中川だが、ようやく不安なくプレーできるようになり「少しずつテニスが戻ってきている」と言う。ジュニア時代にもない"全日本"のタイトルまであと2つだ。(※中川対内田の試合は別途詳報)

【男子シングルス1回戦の結果】
○山崎純平(日清紡HD)[8] 7-5 6-1 清水悠太(三菱電機)[1] ●
○中川直樹(橋本総業HD) 4-6 7-5 6-2 内田海智(富士薬品)[3] ●
○今村昌倫(慶應義塾大学)[W] 6-2 7-5 上杉海斗(江崎グリコ)[W] ●
○今井慎太郎(イカイ)[2] 6-3 6-4 田島尚輝(やまやコミュニケーションズ)●

取材・文● 渡辺隆康(スマッシュ編集部)

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