海外テニス

「自分にとって最大の偉業だった」。サンプラスとジョコビッチが長期間1位に君臨する難しさを分かち合う【海外テニス】

東真奈美

2020.11.13

1998年に6年連続で最終ランキング1位に輝きトロフィーを掲げるサンプラス(左)と、2018年に獲得したジョコビッチ(右)。(C)Getty Images

 先日、ATP(男子プロテニス協会)が、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の2020年の今季最終ランキング1位が確定した事を発表した。ジョコビッチにとって6度目の最終ランキング1位となり、彼が尊敬するピート・サンプラス(アメリカ)が6年連続(1993年~1998年)で得た最多記録に並んだ。

 この2人が、元イギリスのトッププレーヤー、ティム・ヘンマンがホストを務めたATP公式のビデオ対談に出演し、長期にわたって世界のトップに立ち続けた心の内を打ち明け合った。サンプラスは、「正直、楽しくはなかった」と、6度目の最終ランキング連続1位を獲得した1998年当時を振り返った。

「確かその頃ウィーンに数週間滞在していて、連続記録の更新のチャンスがあった。あと数週間はヨーロッパにいることになるが、やってみようと考え、実現させた。最高の気分だったけれど、2、3年などの数年ではなく、長い間トップに立ち続けるのは、精神的にはかなりダメージを受けていたよ。ノバクならわかると思うけれど……」と語り、その様子をジョコビッチは黙って真摯な表情で聞いていた。
 
 続けて、「1位になるのはとても大変だし、6年連続で1位になったことは、自分キャリアの中では一番難しいことだった。振り返ってみると、多くのメジャーを制覇し、素晴らしい記録を残したけど、6年連続で1位になり、確実にその地位を自分のものにしたという実感は、自分にとっての最大の偉業だったと思える」と述べた後に、ジョコビッチの今回の記録を賛辞し、尊敬の念を伝えた。

 ジョコビッチも、「ピートが話している間、本当にそのとおりだと思いながら聞いていた。トップであり続けるのは、そこに到達する2倍も難しい。ピートの言うように、最高の成果であり、そして献身的な努力が必要とされることだ。大きなプレッシャーを受け止め、ネガティブとポジティブの感情の竜巻が心の中で起こっているのを、コートの中でも外でも常に自分を律し続けなければいけない」と語った。