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海外テニス

苦労人の31歳ミルマンと、躍進を続ける19歳のシナーがツアー初の栄冠【ツアー初優勝の軌跡|3】

東真奈美

2020.12.27

向上し続け、ついに頂点に立ったミルマン(左)。決勝戦で競り勝ったシナー(右)。(C)Getty Images

向上し続け、ついに頂点に立ったミルマン(左)。決勝戦で競り勝ったシナー(右)。(C)Getty Images

 テニスのツアー大会で初優勝を飾る。それは選手にとって最高に喜ばしい瞬間だ。ATP(男子プロテニス協会)公式サイトが、2020年に初めてトロフィーを掲げた6名の選手を特集している。最後となる今回は、今季の最年長・最年少ツアー優勝者だ。

 31歳のジョン・ミルマンが、カザフスタンで初開催されたアスタナ・オープンで、ツアー初優勝を果たした。今季最年長のツアー初優勝者だ。幾度となくケガとも闘ってきたミルマンにとって、3度目の決勝だった。

「とにかくホッとしている。幸せだよ。僕にとっては3回目の決勝だったから、3度目の正直だ。ただただ感激している。チャレンジャーは何度も優勝したし、ツアーやグランドスラムでも良い成績を収めてきたけど、ツアーのタイトルを獲得することは特別。間違いなく目標の1つだったので、達成することができてとても満足している」と、感無量のミルマン。

 31歳で目標を達成できた要因については、「常に向上しようとしてきた。このレベルになると、それが当たり前。キツイ練習をしてきたし、その積み重ねが結果として出た」 と、地道な努力の成果であったことを述べている。苦労人のミルマンは、家族や友人に加えて、「試合にあまり勝てていない時にも応援してくれた人」を、真のサポーターと言って、感謝の気持ちを伝えていた。

 また、「非常に多くの才能ある選手たちが、ドアをノックしているので、常に向上し続けなければならない」と、若手の台頭を感じながら、31歳はこれからも戦っていく。
 
 今季最後の初優勝者は、最も注目されている19歳のヤニック・シナーだ。19年の「ネクストジェンATPファイナル」で優勝してから1年後、ソフィア・オープンでツアー初タイトルを獲得した。錦織圭が2008年のデルレイビーチ・オープンに18歳で優勝して以来の、最年少のツアー優勝者となった。

「優勝は、いつでも特別なものだけど、今回はいつにも増して特別。決勝戦のファイナルセットで、7-6で競り勝ったタフな試合だった。同じ勝ちでも6-1 6-1で勝つよりも、もっと良い勝利だったと思う」と、窮地に追い込まれながらアグレッシブなプレーで勝ちをつかみとった決勝戦を振り返った。

 20年は19歳のシナーにとって躍進の年となった。イタリア国際では6位のステファノス・チチパスから金星を挙げ、全仏オープンでは7位のアレクサンダー・ズベレフから勝利してベスト8入りを果たした。この若さでのベスト8入りは、06年のノバク・ジョコビッチ以来で、全仏初出場でのベスト8入りは、05年のラファエル・ナダル以来の快挙だった。

 最後の大会であるソフィア・オープンでトロフィーを掲げて、大躍進となった今季を締めくくり、キャリアハイとなる37位まで駆け上がった。

 シナーはツアー中断中、母国イタリアの医療品資金調達のために「シナー・ピザ・チャレンジ」を企画・実行し、寄付をしている。テニスの実力だけはなく、トップに立つ品位も磨きながら、今よりもっと先へと挑戦し続けている。

■初優勝の決勝スコア
ジョン・ミルマン(オーストラリア)7-5 6-1 アドリアン・マナリノ(フランス)
ヤニック・シナー(イタリア)6-4 3-6 7-6(3) バセク・ポスピシル(カナダ)

文●東真奈美

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