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海外テニス

ロシアでコロナ感染判明後、国外逃亡のクエリーにATPが執行猶予期間付き罰金処分

中村光佑

2021.01.01

厳しい処分は免れたが、テニスファンの間では批判の声も上がっている。(C)Getty Images

厳しい処分は免れたが、テニスファンの間では批判の声も上がっている。(C)Getty Images

 ATP(男子プロテニス協会)は、新型コロナウイルス感染防止プロトコルの違反があった世界53位のサム・クエリー(アメリカ)について、6ヵ月の執行猶予期間付きで2万ドルの罰金処分を科すことを決定した。

 クエリーは2020年10月のサンクトペテルブルク・オープン(ロシア/サンクトペテルブルク、ATP500)に出場を予定していたが、大会前に実施されたPCR検査で陽性反応を示し、帯同していた妻と当時生後8ヵ月の子どもにも感染が確認されていた。

 その際クエリー一家は、14日間の隔離措置を一旦は受け入れたという。しかし、ロシアの保健当局から「症状が見られる場合には強制的に入院することになる」と伝えられると、異国の地で妻や子どもと引き離されることを恐れ、プライベートジェットでロシアを飛び立ったのだ。これを受けて、ATPは規定に基づいて処分を行なうとしていた。
 
 そしてATPは、現地30日に公式サイトで調査の結果を報告。「クエリー氏の行為は行動規範の規定の下で、そのルールに反するものであると結論づけました。その結果、ATPは2万米ドルの罰金を科した」としている。

 ただ一方で「クエリー氏の長年にわたるATPとの良好な関係や情状」を考慮して、来年6月までの執行猶予期間内に、クエリーが新型コロナウイルスに関連した新たなプロトコル違反を犯さない限りは、今回の処分を課さない意向を示している。

 一連の騒動について沈黙を貫いているクエリー。今回の裁定については事なきを得たと言えるだろう。しかし、テニスファンの間では、処分が軽すぎるという声があるのも事実だ。

 クエリーは、2021年シーズンの開幕戦となるデルレイビーチ・オープン(アメリカ/デルレイビーチ、 ATP250)にエントリーしている。出場すれば、これが騒動後の初の公の舞台となるが、批判も少なからず出てくることだろう。

文●中村光佑

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