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「ものすごく練習熱心で素直」。次代のナダルと呼ばれる17歳のアルカラスは、スペインの愛されキャラ【全豪オープン/現地発レポート】〈SMASH〉

内田暁

2021.02.13

グランドスラム本戦デビューで勝利を挙げたアルカラスは、スペインの先輩選手たちからも一目置かれている。(C)Getty Images

 コートサイドに立つパブロ・カレノブスタの視線、そして、彼を練習相手に指名したというラファエル・ナダルの注視などが、まだ顔にあどけなさを残す17歳のポテンシャルや、人間性を物語っているだろう。

 早くも"次代のナダル"とも呼ばれるカルロス・アルカラスは、すでに世界ランキング141位。1月の予選を突破し全豪オープン本戦の切符をつかみとると、初戦で同じく予選突破のボティク・ファン・デ・ザンスフルプに、6-1、6-4、6-4で快勝。17歳でのグランドスラム勝利は、2014年全豪のタナシ・コキナキス以来の年少記録となった。

 2000年代にテニス大国として一時代を築くも、後進不足がささやかれ、未来が不安視もされていたスペイン。そこに現れた新星に寄せられる期待は大きく、同時に、向けられる眼差しは温かい。

 カレノブスタは、初めてアルカラスと会った日のことを、今でも鮮明に覚えているという。「2017年のATPファイナルズで、彼と練習でボールを打ち合ったんだ。当時彼は14歳だったけれど、驚いた。全くミスをしない。モノが違うとすぐにわかった」
 
 今では同じアカデミーを拠点とする2人は、その日以来、幾度もボールを打ち合ってきた。アルカラスは、「パブロは僕にとって兄のような存在だ」と言い、「彼のような選手が身近にいて、大会会場でも助けてくれるのは、ものすごく心強い」と相好を崩す。

 ちなみに、2人が共有する拠点とは、元世界1位のホアン・カルロス・フェレーロが運営するアカデミー。3年前からフェレーロに師事する訳を、アルカラスは「ちょうどその頃、ホアン・カルロスがジュニア育成に力を入れ始めて、僕にも声を掛けてくれたんだ」と言うが、それも必然的な巡り合わせだろう。

 アルカラスが"次代のナダル"と呼ばれる理由は、若くして頭角を現す足跡や、185センチの体躯から繰り出す重量感溢れるショットなどと同時に、誰もが「ものすごく練習熱心で素直」と評する人間性にもあるようだ。

 カレノブスタは「彼は謙虚で向上心が高い。素晴らしい選手であり、何より素晴らしい若者だ」と"弟分"を絶賛。14歳からアルカラスを見るフェレーロも、ATP公式サイトの取材に対し「彼の何に驚かされるって、試合の始まりから終わりまで冷静にプレーすることだ」と応じている。
 
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ナダルや対戦相手の評価は?