全豪オープンテニス、大坂なおみ対セレナ・ウィリアムズの準決勝がまもなく始まる。2人の対戦で一番に脳裏に浮かぶのは、やはり2018年全米オープン決勝だ。異様な空気の中、20歳の大坂は衝撃的なグランドスラム初優勝を飾る。その熱闘を振り返ろう。
◆ ◆ ◆
“その日”を初めて夢見たのは、果たしていつだろうか――?
幼い頃から幾度も繰り返し見た夢で、彼女は銀色に輝く優勝トロフィーを、アーサー・アッシュ・スタジアムで掲げている。その決勝の相手は常に、「憧れの人」セレナ・ウィリアムズだった。
20歳で迎えた全米オープンで、大坂なおみは自らの夢へと足を踏み入れる。緊張がなかったはずは、もちろんない。だがより大きな重圧を感じていたのは、恐らくはセレナの方だ。スピードが上がらずコースも定まらぬサービスが、泡立つ女王の心を映す。
一方、セレナの際どいサービスにすっと人差し指を上げフォールトだと訴える大坂の姿には、遠慮や気後れの色はまるでない。「セレナはスロースターターだから、立ち上がりでチャンスをモノにする」
それが大坂サイドの狙いであり、初の決勝の大舞台に立つ挑戦者は、そのミッションを完璧なまでに遂行した。
第1ゲームこそ取り逃すが、第3ゲームではリターンからプレッシャーをかけ、ラリーを支配しブレークに成功。その2ゲーム後にも相手のゲームを破った大坂が、最後はセレナの正面に時速187キロのサービスを叩き込み、第1セットをつかみ取った。
第2セットに入っても、大坂の優勢は続く。だがセレナは第3ゲームでブレークの危機を凌ぐと、続くゲームをブレーク。一斉に立ち上がる観客が、この日最大の声援でスタジアムを満たした。観客の熱狂を追い風に、女王が支配権を手中に収めたかに見えた局面。だが大坂の“勝負師の資質”が、「次のゲームをブレークバックしなくては危険だ」と彼女に告げていた。
「次のゲームを取られたら、観客は興奮し、セレナはますます勢いづく。ここで集中力を上げなくては」
そして彼女は、自らに言い聞かせた言葉を実現させる。
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“その日”を初めて夢見たのは、果たしていつだろうか――?
幼い頃から幾度も繰り返し見た夢で、彼女は銀色に輝く優勝トロフィーを、アーサー・アッシュ・スタジアムで掲げている。その決勝の相手は常に、「憧れの人」セレナ・ウィリアムズだった。
20歳で迎えた全米オープンで、大坂なおみは自らの夢へと足を踏み入れる。緊張がなかったはずは、もちろんない。だがより大きな重圧を感じていたのは、恐らくはセレナの方だ。スピードが上がらずコースも定まらぬサービスが、泡立つ女王の心を映す。
一方、セレナの際どいサービスにすっと人差し指を上げフォールトだと訴える大坂の姿には、遠慮や気後れの色はまるでない。「セレナはスロースターターだから、立ち上がりでチャンスをモノにする」
それが大坂サイドの狙いであり、初の決勝の大舞台に立つ挑戦者は、そのミッションを完璧なまでに遂行した。
第1ゲームこそ取り逃すが、第3ゲームではリターンからプレッシャーをかけ、ラリーを支配しブレークに成功。その2ゲーム後にも相手のゲームを破った大坂が、最後はセレナの正面に時速187キロのサービスを叩き込み、第1セットをつかみ取った。
第2セットに入っても、大坂の優勢は続く。だがセレナは第3ゲームでブレークの危機を凌ぐと、続くゲームをブレーク。一斉に立ち上がる観客が、この日最大の声援でスタジアムを満たした。観客の熱狂を追い風に、女王が支配権を手中に収めたかに見えた局面。だが大坂の“勝負師の資質”が、「次のゲームをブレークバックしなくては危険だ」と彼女に告げていた。
「次のゲームを取られたら、観客は興奮し、セレナはますます勢いづく。ここで集中力を上げなくては」
そして彼女は、自らに言い聞かせた言葉を実現させる。