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体格のハンディを不屈の闘志で補ったヒューイット。驚異的なコートカバーとカウンターで頂点に!【レジェンドFILE37】〈SMASH〉

スマッシュ編集部

2021.02.28

これだけ振られながら全くバランスが崩れていないのが見事。ヒューイットはこの体勢からでも強力なカウンターで逆にウイナーを奪うことができた。写真:スマッシュ写真部

 16歳のツアーデビュー戦でセンセーショナルな優勝を飾ったのがレイトン・ヒューイット。身長178センチと、男子選手の中では小柄な身体ながら、世界ランキング1位在位が80週と歴代10位の記録をマークしている。

 オーストラリアの新人アレックス・デミノーが現れた時、ヒューイットのプレーを思い出したテニスファンはきっと多かっただろう。さらにデミノーのコーチ席にヒューイットを発見した時は、驚きとともに納得もしたのではないだろうか。デミノーのプレーはヒューイットのプレーとそっくりだったのだ。

 体格に恵まれなかったヒューイットは、他のトップ選手に比べ確かにボールの威力では劣った。しかし、驚異的なコートカバー能力と、安定性抜群のストローク、そして不屈の闘志でNo.1に上り詰めた。
 
 ここで紹介した連続写真は、彼のプレーを最もよく象徴しているフォアハンドのランニングショットだ。技術的には、これだけ振られながらもスイングを通して頭が倒れていない点、打球後すぐに右足で踏ん張り、戻る準備をしている点などが、長所として挙げられる。

 ただ、そんなことよりも彼の目つきを見てほしい。絶対に取ってやるという気概がみなぎっている。それこそがヒューイットの最大の武器だった。

 振られれば振られるほどエースを量産したのがヒューイットだ。このランニングショットをベースとしたカウンターがあったからこそ、彼はツアーで生き抜くことができた。

【プロフィール】レイトン・ヒューイット/Lleyton Hewitt(AUS)
1981年生まれ。ATPランキング最高位1位(2001年11月)。グランドスラム通算2勝(WIM:02年、US:01年)。粘り強さとブレないメンタルを武器に、長年トップで活躍したファイター。男子テニス史上最年少の20歳8カ月で世界No.1に到達し、01、02年には最終戦2連覇を果たしている。ポイントを決めた時に発する「COME ON!」の雄叫びは、男女を問わず多くの選手が真似をするなどの影響を及ぼした。引退後はデ杯監督に就任し、オーストラリアの選手育成に注力。今年、国際テニス殿堂入りを果たした。

編集協力●井山夏生 構成●スマッシュ編集部

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