海外テニス

錦織圭が考える最終的なゴールは「子どもたちにインスピレーションを与えること」〈SMASH〉

中村光佑

2021.03.16

ビッグタイトルの獲得は目標のひとつだが、錦織はその先にある自身の役割を最終的なゴールと考えているようだ。(C)GettyImages

 男子テニスツアー「ドバイ選手権」(3月14日~20日/アラブ首長国連邦・ドバイ/ハード/ATP500)のシン グルス1回戦を突破した錦織圭が、イギリスのスポーツメディア『sportskeeda』のインタビューに応じ、今後の目標や現在のコンディションについて語った。

 2014年の全米オープン準優勝や12度にわたるATPツアーでの優勝など、輝かしい功績を残してきた錦織。世界屈指とも称されるストローク力で並みいる強敵を打ち破り、15年には世界ランキングでも日本人男子選手初の4位に上り詰めた経験を持つ。さらに、16年に開催されたリオ五輪では銅メダルを獲得し、テニス競技では96年ぶりとなる快挙を成し遂げた。

 だが、一方でグランドスラムに次ぐグレードのATP1000マスターズでは、決勝に4度進みながらいずれも敗れており、グランドスラムでもビッグ3(ジョコビッチ・ナダル・フェデラー)の大きな壁に阻まれていることで、依然としてビッグタイトルの獲得はない。

 また、近年はケガにも見舞われることが多く、19年10月には右ヒジの手術を施している。

 これまでに多くの成果を残してきたことについて問われた錦織は「自分にとってどの瞬間が一番大事だったのかを決めるのはとても難しい。全て違うものだから」とした上で、「もちろん、リオ五輪の銅メダルも、全米の決勝進出も、楽天で優勝したことも特別だった」と自身のキャリアを振り返る。
 
 続けて錦織は「大きな大会での優勝は常に目標であり続ける。最初のゴールはマスターズで優勝することだろう。そして最終的には、子どもたちがラケットを手に取ってテニスをするために僕がインスピレーションを与える存在になることができていたらいいと思う」と今後に向けての意気込みを口にした。

 最後に錦織は「19年と20年シーズンにはいくつか試練があった」と苦しい時期を過ごしていたことを明かしながらも、「今は試合勘を取り戻そうとしている途中だけど、もう(身体は)100%に戻っている」と語り、状態の良さをアピールした。

 錦織は今年2月の「ATPカップ」(オーストラリア/国別対抗戦)で右肩のケガから約5か月ぶりにツアー復帰を果たしたものの、なかなか勝ちに恵まれない状況が続いていた。

 だが、そんな中で迎えたロッテルダム大会(3月1日~7日/オランダ/ATP500)では、約1年8か月ぶりにツアー8強入りを果たすなど、徐々に調子は上向いている。初のマスターズ、そしてグランドスラム制覇へ、錦織の更なる飛躍に期待したい。

 なお、錦織のドバイ選手権2回戦は、現地16日午後7時(日本時間17日午前0時)以降の開催となる。対戦相手はダビド・ゴファン(ベルギー/13位)。過去の対戦成績は錦織から見て3勝0敗で、2015年カナダ・マスターズ以来の顔合わせとなる。

文●中村光佑

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