現在、プロとして活躍している選手も、現役を引退してコーチをしている人も、小さい頃には憧れのプロがいたはずだ。【プロが憧れたプロ】シリーズの第18回は、ダブルスの名手として鳴らした佐藤博康プロだ。
◆ ◆ ◆
佐藤博康は、華麗なサーブ&ボレーを武器に全日本選手権の男子ダブルスを2度制し、国内ランキング2位を記録した元プロ選手だ。1972年生まれ、44歳まで現役でプレーしていたから、記憶している人も多いだろう。
佐藤が中学生の頃に憧れたのが、そのプレースタイルからも想像がつくようにステファン・エドバーグである。「サーブ&ボレーのカッコよさ、バックハンドの美しさ、忘れられませんね」と懐かしむ。
ただ、自分がサーブ&ボレーヤーだからエドバーグに憧れたのではなく、エドバーグに憧れたからサーブ&ボレーに変えた、というのが正確なところだ。それまでの佐藤は、意外にもコテコテのストローカーだったのだ。
「スウェーデンが強い時代で、ビランデルとかペルンフォルスが好きでした。だから僕も『F200』を使って、バックも両手打ちで、ベースラインで粘ってましたね。エドバーグに影響されて片手バックにしたし、ネットにも出始めたんです」
佐藤は、子どもの頃にトッププロに憧れるのは、とても大切なことだと語る。
「その人そのものにはなれないけど、自分のオリジナルを探すうえで、イメージがしやすくなります。こうすればこうなるんだ、という見本が目に見える形であるから、突き詰めていけるんです」
「エドバーグがいなかったら、ぜんぜん違うフォームになっていたかもしれない」と佐藤は笑う。もちろん、ネットにも出なかっただろうし、となると全日本優勝はおろか、プロにもなれていなかったかもしれない。全てはエドバーグから始まった。
そんな佐藤にとって、今のテニス界は見ていて歯がゆくて仕方がないそうだ。
「フェデラー以外、基本的にストロークでやっている。もっとオールラウンドな選手が増えてきたら、テニスが華やかになるのに……」
佐藤の法則に従うと、ネットに出るプロがいなければ、それを見て育つ子どもたちもネットに出ない……これではますますネットプレーヤーは減っていく。「ダブルスでステイバックとか見てると寂しいですよ」という佐藤の言葉がいつまでも耳に残った。
取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)
【PHOTO】佐藤博康プロが憧れたエドバーグのネットプレー分解写真
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佐藤博康は、華麗なサーブ&ボレーを武器に全日本選手権の男子ダブルスを2度制し、国内ランキング2位を記録した元プロ選手だ。1972年生まれ、44歳まで現役でプレーしていたから、記憶している人も多いだろう。
佐藤が中学生の頃に憧れたのが、そのプレースタイルからも想像がつくようにステファン・エドバーグである。「サーブ&ボレーのカッコよさ、バックハンドの美しさ、忘れられませんね」と懐かしむ。
ただ、自分がサーブ&ボレーヤーだからエドバーグに憧れたのではなく、エドバーグに憧れたからサーブ&ボレーに変えた、というのが正確なところだ。それまでの佐藤は、意外にもコテコテのストローカーだったのだ。
「スウェーデンが強い時代で、ビランデルとかペルンフォルスが好きでした。だから僕も『F200』を使って、バックも両手打ちで、ベースラインで粘ってましたね。エドバーグに影響されて片手バックにしたし、ネットにも出始めたんです」
佐藤は、子どもの頃にトッププロに憧れるのは、とても大切なことだと語る。
「その人そのものにはなれないけど、自分のオリジナルを探すうえで、イメージがしやすくなります。こうすればこうなるんだ、という見本が目に見える形であるから、突き詰めていけるんです」
「エドバーグがいなかったら、ぜんぜん違うフォームになっていたかもしれない」と佐藤は笑う。もちろん、ネットにも出なかっただろうし、となると全日本優勝はおろか、プロにもなれていなかったかもしれない。全てはエドバーグから始まった。
そんな佐藤にとって、今のテニス界は見ていて歯がゆくて仕方がないそうだ。
「フェデラー以外、基本的にストロークでやっている。もっとオールラウンドな選手が増えてきたら、テニスが華やかになるのに……」
佐藤の法則に従うと、ネットに出るプロがいなければ、それを見て育つ子どもたちもネットに出ない……これではますますネットプレーヤーは減っていく。「ダブルスでステイバックとか見てると寂しいですよ」という佐藤の言葉がいつまでも耳に残った。
取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)
【PHOTO】佐藤博康プロが憧れたエドバーグのネットプレー分解写真