海外テニス

全仏でグランドスラム最多優勝がかかるナダル。「達成する素晴らしい機会とは思っていない」と慎重姿勢<SMASH>

中村光佑

2021.05.23

昨年の全仏オープンでグランドスラム20勝目を挙げたナダル。今年の大会を目前に、自ら展望を語った。(C)Getty Images

 男子テニス世界ランク3位のラファエル・ナダル(スペイン)がアメリカのスポーツメディア「Bleacher Report」のインタビューに応じ、5月30日から開幕する全仏オープン(フランス・パリ/グランドスラム/クレー)の展望を語った。

 長年にわたってクレーコートで驚異的な強さを発揮し続け、「クレーキング」の異名も持つナダル。全仏オープンは数あるクレーコートの大会の中で最も得意としている舞台であり、昨年の同大会では前人未踏の13度目の優勝を成し遂げた。通算成績でも100勝2敗というとてつもない記録を残しており、今年もナダルが優勝候補筆頭であることは疑いようがない。

 また、ナダルが順当に今年の全仏を制した場合、グランドスラム通算優勝回数が21回に達し、ロジャー・フェデラー(スイス)を上回って単独トップに立つことになる。だが、ナダル自身は「僕にとってローランギャロス(全仏)は重要な意味を持つ」としながらも、「(今年の全仏が)21回目のグランドスラム優勝を達成する素晴らしい機会だとは思っていない」と語っており、新たな歴史を生み出すことへのこだわりは特にないようだ。
 
 その後、全仏14度目の制覇へテニスファンから大きな期待が寄せられていることについて問われると、「プレッシャーを感じなくなれば、それはキャリアに別れを告げる時だと思う。むしろプレッシャーがなければ、最高のレベルでプレーすることは難しい。常に個人的な重圧はあるけど、その中で良いプレーをしたいと思っているし、やるべきこともわかっている」と強気なコメントを残した。

 ナダルはクレーシリーズ初戦となった4月のモンテカルロ・マスターズで準々決勝敗退と不本意な結果に終わり、全仏オープンへ向けて不安なスタートを切ったかに見えた。それでも続くバルセロナ・オープンで優勝。直近のイタリア国際では決勝で世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を破って同大会最多となる10度目の優勝を果たし、調子は徐々に上向いている。最近は次世代のプレーヤーの活躍も目立つ中、今年も「赤土の絶対王者」と称されるナダルがローランギャロスの地でどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか注目だ。

文●中村光佑

【PHOTO】ナダルはじめ全仏オープン2020で活躍した男子選手たち
 
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【動画】ナダルが20回目のグランドスラム優勝を飾った2020全仏オープン決勝ハイライト