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海外テニス

全仏4強入りしたサッカリの躍進を支える若き戦術家コーチの存在。その数奇なキャリアの始まりはシャラポワとの…<SMASH>

内田暁

2021.06.10

前年覇者のシフィオンテクを下して全仏オープン4強入りしたサッカリ。その詳細は明かさないが、コーチのヒルが授けた戦術によるところが大きいようだ。(C)Getty Images

前年覇者のシフィオンテクを下して全仏オープン4強入りしたサッカリ。その詳細は明かさないが、コーチのヒルが授けた戦術によるところが大きいようだ。(C)Getty Images

「久しぶり!」と古いテニス仲間に肩を叩かれたのは、キャンパスに近い、サンタモニカのバーだったという。

 大学卒業を控えた、最後の夏休み。テニスの名門でもあるペパーダイン大学で経営学を学んでいた彼は、法科大学院へと進む予定で、必要な試験も全てクリアしていた。
 
 4歳から始めたテニスとは、大学を最後に、距離を置くつもりでいた。フューチャーズに出てATPポイントは持っていたが、小柄だったこともあり、プロとして生計を立てるのは難しいとも感じてもいた。

 バーで遭遇した友人に「この夏は、なんか予定あるの?」と声を掛けられたのは、そんな折である。

「何もないなら、IMGアカデミーがヒッティングパートナーを探しているから、やらないか?」

 この友人の誘いを、詳しく聞くこともなく承諾した。酔っていたこともあるだろうし、なにせ夜中の2時だ。本当の話かどうかも、わからなかった。

 3週間後――。彼の下に、一通のテキストメッセージが届く。
「マリア・シャラポワのヒッティングパートナーをして欲しいのだが」
 文面には、そう書いてあった。

 かのシャラポワかと驚きながらも、彼はロサンゼルスからフロリダ行きの飛行機に乗り込む。英国出身の学生プレーヤー、トム・ヒルのキャリアは、この時、予想もしていなかった方向へと進み始めた。
 
 それから、4年。「もしあの時にバーにいなければ、僕はここにいなかった」。そう言い彼は、ローランギャロスの会見室で笑う。

 現在ヒルが指導するのは、世界18位のマリア・サッカリ。ギリシャのナンバー1選手とは、共にツアーを回り初めて3年が経とうとしていた。

 シャラポワのヒッティングパートナーを務めた時、彼はまだ、法科大学院に行くつもりだったという。ところが、IMGでシャラポワ以外にも多くの選手と練習するうちに、ダニエル・コリンズから「コーチになってほしい」と言われたのだった。

「まったく想像もしていないことでした。僕はまだ21歳か22歳だったし」

 法律家か、ツアーコーチか――。

 両極端な二択だが、彼は後者を選ぶ。そうしてわずか半年で、コリンズは世界の220位から、39位までランキングを駆け上がった。その躍進が注視を集め、彼は、多くのオファーを受けるようになる。当時50位前後のサッカリも、そのうちの一人だった。
 
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戦術眼に優れた“コーチ・ヒル”の力量

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