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海外テニス

「一生忘れられない勝利」全仏準決勝でナダルとの激闘を制したジョコビッチ。“ダブルグランドスラム”達成なるか?<SMASH>

中村光佑

2021.06.12

史上初のダブルグランドスラムを目指して、決勝でチチパスと対戦するジョコビッチ。(C)Getty Images

史上初のダブルグランドスラムを目指して、決勝でチチパスと対戦するジョコビッチ。(C)Getty Images

 テニスの四大大会「全仏オープン」(5月30日~6月13日/フランス・パリ/クレーコート/グランドスラム)は現地6月11日に男子シングルス準決勝を実施。第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア/1位)が第3シードのラファエル・ナダル(スペイン/3位)を3-6、 6-3、 7-6 (4)、 6-2で下し、同大会2年連続6度目の決勝進出を決めた。

 準々決勝で第9シードのマッテオ・ベレッティーニ(イタリア/9位)を3時間28分の熱戦の末に下し、全仏11度目のベスト4入りを果たしていたジョコビッチ。ナダルとは今大会が58度目の顔合わせで、過去の対戦成績はジョコビッチが29勝28敗とわずかに勝ち越しているが、今年の5月中旬に行なわれたイタリア国際の決勝では惜しくもフルセットの接戦の末にナダルに敗れている。

 この試合は序盤からナダルに主導権を握られ、2つのブレークを喫して第1セットを落としてしまう。それでも、第2セットに入ると第2ゲームで早くもジョコビッチがブレークに成功。一時ブレークバックを許したものの、持ち味の安定感のあるストロークを軸にナダルを崩し、1セットオールとした。

 第3セットはお互いに一歩も譲らず2つのブレークを取り合い、タイブレークへともつれ込む。するとナダルが3-4の場面で痛恨のボレーミスを犯し、これを逃さなかったジョコビッチがそのままタイブレークを制して決勝進出に王手をかける。迎えた第4セットでは精度の高いサービスから攻撃的なプレーを見せるジョコビッチが3度のブレークを奪い、4時間11分の死闘に終止符を打った。
 
 全仏で105勝2敗と驚異的な記録を残していたナダルから勝利をつかんだジョコビッチは試合後に行なわれた記者会見で「ラファ(ナダル)は約20年間、全仏でプレーしている。彼のローランギャロスでの功績に対しては、思いつく限りの最上級の言葉以上のものを見つけるのは難しい。彼と全仏で一緒にコートに立つたびに、『この男に勝つためにはエベレストに登らなければならない』と思っている」と対戦したライバルを称賛。

 最後に「ローランギャロス(全仏)での最高の試合だったし、これまでの僕のキャリアでもトップ3に入る試合だった。この試合は、単に勝ったからというだけでなく、その場の雰囲気も含めて、一生忘れられないものになったよ」と喜びを表現した。

 一方、全仏で3度目となる敗戦を喫し、大会14度目の優勝を逃したナダルは「自分のベストを尽くしたけど、今日は僕の日ではなかった」と前置きした上で、「よりあらゆる条件に適応した者が勝つに値する。だから、彼が勝つのにふさわしいのは間違いない」と勝者のジョコビッチを讃えた。

 なお、勝利したジョコビッチは決勝で22歳のステファノス・チチパス(ギリシャ/5位)と対戦する。ジョコビッチが「ダブルグランドスラム」(すべての四大大会を2回以上制覇すること)の偉業を成し遂げるのか、それともチチパスが新時代への扉を切り開くのか、注目の決勝戦は日本時間13日の午後10時00分以降に行なわれる予定だ。

文●中村光佑

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