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国内テニス

同門の先輩・伊藤竜馬のフォアに憧れた望月勇希。プロ転向した今、直接戦うことが目標に【プロが憧れたプロ|第20回】<SMASH>

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2021.07.18

「ドラゴンショット」と呼ばれ、世界レベルの破壊力を誇る伊藤竜馬のフォアハンド(左)。望月勇希(右)はそのクオリティを子どもの頃から目標にしてきた。写真:THE DIGEST写真部

「ドラゴンショット」と呼ばれ、世界レベルの破壊力を誇る伊藤竜馬のフォアハンド(左)。望月勇希(右)はそのクオリティを子どもの頃から目標にしてきた。写真:THE DIGEST写真部

 現在、プロとして活躍している選手も、現役を引退してコーチをしている人も、小さい頃には憧れのプロがいたはずだ。【プロが憧れたプロ】シリーズの第20回は、昨春、中央大学を卒業してプロ転向した望月勇希選手だ。

   ◆   ◆   ◆

 望月はすでに大学在学中に国内外のITFツアーで3度タイトルを獲得し、全日本選手権でもベスト4入りした逸材である。破壊力のあるフォアハンドが一番の武器だが、その原型となっているのは伊藤竜馬だという。

「初めて竜馬さんのフォアを見たのは、僕が小学1~2年生の頃です。同じテニスクラブ(大阪テニスアカデミー)で練習していて、ものすごいフォアだなぁ、自分もあんなふうにフォアで攻めたいなぁって、憧れました」

 望月より9歳上の伊藤は当時高校生で、日本のジュニアのトップに位置していた。小学生の望月の目には、やがて“ドラゴンショット”と呼ばれる伊藤のフォアは、衝撃だったに違いない。「もうフォアに釘付けでしたね。ボールの速さ、鋭さ、音。他のみんなと全然違っていて、とにかくカッコよかった!」と望月は振り返る。

 昔から「誰かのフォームを真似たりするタイプではない」という望月だが、伊藤のフォアに関しては「フォームではなく、ああいうボールが打てるようになりたいと、“クオリティの目標”にしました」と語る。「打ち方は自分流ですが、目指すべきボールのイメージがあるだけで、すごくプラスになりました」
 
 とはいえ当時は、年も離れていたし、雲の上の存在でもある伊藤に、ほとんど話しかけることはできなかったそうだ。だからアドバイスをもらったこともないし、「僕の方が見ているだけで、向こうは僕を知っていたかどうか……」という間柄。

 そんな望月が今、ナショナルトレーニングセンター(NTC)で伊藤と練習を共にするまでに成長した。望月はナショナルメンバー(男子ユース)の一員に名を連ねている。

「大学4年かプロになったくらいから、NTCで練習させてもらえるようになりました。たまに竜馬さんに打ってもらうんですが、実際にボールを受けるとやっぱりすごいし、勉強になります」と望月。

 プロになった途端、コロナ禍で海外遠征にも出られなくなってしまった望月だが、先ごろ久々に遠征を再開し、ギリシアのITFツアーで優勝を飾った。今のランキングは657位(7/12付)。まだ公式戦で対戦したことがない伊藤と「早く戦えるところまで行かないとダメですね」とランクアップに意欲を示す。

 ショットのクオリティの次は、伊藤と直接戦うことが望月の目標だ。

取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)

【PHOTO】望月勇希が憧れた伊藤竜馬の「ドラゴンショット」分解写真
 

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