海外テニス

【プロの観戦眼7】バランスが取れていて面白い若手、22歳ルードと19歳ムゼッティを見よ~鈴木貴男<SMASH>

赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

2021.07.23

今季2タイトル獲得しているルード(左)、東京オリンピックに出場するムゼッティ(右)。右上は鈴木貴男プロ。(C)Getty Images、右上写真:THE DIGEST写真部

 このシリーズでは、多くのテニスの試合を見ているプロや解説者に、「この選手のここがすごい」という着眼点を教えてもらう。試合観戦をより楽しむためのヒントにしてほしい。

 第7回は鈴木貴男プロに話を聞いた。注目しているのは、22歳で14位のキャスパー・ルード(ノルウェー)と、19歳で61位のロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)だ。

「ルードは力強さとバランスが好きです。強力なフォアハンドが軸ですがバックハンドも無理せずに配球できて、動きも良くスキがありません」

 現在の男子テニスでは「どこか弱い部分があると勝てない」と言う鈴木プロ。その点、ルードはバランスが取れている中で、「フォアハンドは力強く、一発で決めることもできて、配球もうまい。今はクレーで強いですが、ハードでも十分に通用すると思います」と、どのサーフェスでも活躍できるポテンシャルを持っていると言う。
 
 他に注目しているのは、同じく若手のムゼッティ。「フォアとバックが力強く、19歳なのにドロップショットの感覚や駆け引きのセンスがあります。ストロークで後ろにポジションを取っていると思ったらスッと前に入ってきたり、前にいると思ったら下がっていたりと、駆け引きがうまいです。相手がドロップショットを打ってもきちんと切り返しができます」

 ムゼッティもクレーが得意な選手だが、ルード同様に他のサーフェスでも活躍できると言う。ATPツアーの10代トリオの1人が出てきたので、残りの2人、カルロス・アルカラス(スペイン/18歳)とヤニック・シナー(イタリア/19歳)ついても聞いてみた。

「アルカラスはボールをひっぱたくし、特にフォアは力強く、どこでも戦えるでしょう。シナーは将来のナンバー1候補ですね。身体が大きく、ベースのボールがいいし、動きもいいです」。やはりバランスの良さと力強さが際立っているようだ。

「若手には頑張ってほしいです。現在ツアーのトップ100で10代は3人です。勝つのが大変になってきている今、トップ100に入れているということは、能力があるということ。今はこれぐらいの能力がないと上がってこられないということを示しています」。ルードに加えて、10代トリオの成長を楽しみに見ていこう。

取材・文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

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