海外テニス

錦織圭の東京五輪1回戦の相手ルブレフは“メンタルとサービス改善”で急成長した世界7位<SMASH>

スマッシュ編集部

2021.07.24

ボールの真下に顔がくるほど身体を反らしてもバランスが崩れないルブレフ(写真左上)の超人的なスピンサービス。写真:真野博正、(C)Getty Images

 男子テニス界の勢力図が「ニュージェネレーション」と呼ばれる20歳前後の若い選手によって塗り替えられようとしている。果たして彼らはどんなプレーを武器とするのか。

 テニス専門誌『スマッシュ』では、今季撮影の最新連続写真をベースに「次代のエースに学べ!世界最先端のサービス」と銘打ち、元デ杯日本代表の辻野隆三氏にその注目すべきスキルを分析してもらった。

 今回は東京オリンピックの1回戦で錦織圭と対戦するロシアの23歳アンドレイ・ルブレフ(世界7位)の登場だ。

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 今年3月のドバイで敗れるまで、ATP500シリーズで23連勝(歴代2位)を記録したルブレフ。彼のコーチによると躍進のカギは2つあり、その1つがメンタルの改善だという。以前は完璧主義だったため1つの凡ミスが許せず、そこから勝手に崩れるケースが多かったが、それが改善されたことで落ち着いてプレーを続けられるようになった。

 もう1つはセカンドサービスの改善。彼はキック系の跳ねるサービスを主体とするが、以前はセカンドが浅くなりがちで叩かれていた。

 もともと攻撃型の選手なので守備に回ると自分のリズムでプレーができなくなることが多く、そこでセカンドを「深く打つ」ことと「コースの打ち分け」を徹底的に練習した。そうやって攻撃しにくくさせたことで、自分のプレーを出せるようになった。
 
 写真はスピンサービスの場面だが、身体を大きく後方に反らしてボールをほぼ真下から見ている。この状態から上体を反り戻して打点に向かう。腹筋、背筋、体幹と全てが強じんで、さらに柔軟性を持ち合わせていないとできない動きだ。通常ここまで身体を反らしてしまうとバランスを崩して打つことはできないだろう。まさにルブレフならではの動き。こうして身体を大きく使いボールに回転をかけることで、深くて跳ねる弾道を実現し、相手が攻撃しにくいようにするのだ。

 ルブレフと錦織による東京五輪男子シングルス1回戦は7月25日に行なわれる予定だ。

【プロフィール】アンドレイ・ルブレフ
1997年10月20日生まれ。ロシア出身。身長188cm。右利き。バックハンドは両手。父親はボクサーでテニスは母親のもとで学び、2014年全仏ジュニアを制して17歳でプロに転向。翌15年にはダブルスでツアー初V、17年にはシングルスでもタイトル獲得。21年7月まで通算12回の決勝進出を果たし8回優勝。世界ランキング7位(21年7月19日付)

構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2021年6月号より再編集

【PHOTO】身体の使い方が超人的なルブレフのサービス連続写真!