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【伊達公子】オリンピックにはエネルギーが溢れている。他競技との交流で吸収の場にも<SMASH>

伊達公子

2021.07.30

テニスの強みや、他競技で羨ましく思うことを話してくれた伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 オリンピックという場所は、エネルギーが溢れています。私の場合はそこにいることに疲れてしまうタイプでしたが、うまくコントロールして他競技の選手からのエネルギーを感じ取ることはプラスになると思います。

 競技によって行動の仕方や食事を摂る時間帯も違いますが、中にはコンディションの作り方など参考になることもあるでしょう。普段は接する機会がないトップアスリートを目の前で見られるチャンスですから、吸収し合える場になればいいですね。

 私のファーストキャリアの時は、他競技と接する機会は今以上にありませんでした。例えば、バドミントンの陣内貴美子さん。ヨネックス同士で同じラケット競技で名前も同じキミコ。もちろん活躍は知っていましたが、実際に会ったのはオリンピックの会場でした。

 時代が違うからですが、今考えると会った理由はユニークでした。私は日本からではなく他国から現地入りしており、オリンピックで必要な物を同じヨネックス契約の陣内さんに持ってきてもらったんです。その時に2人で「やっと会えましたね」という感じでした。

 今はバドミントンも随分変わりましたが当時は、「テニスはいいよね、ウェアも可愛いし、メディアにも取り上げてもらえるし」と、よく言われました(笑)。
 
 私が他の競技で羨ましいと思うことは、短い時間で試合が終わることですね。テニスは長いので(笑)。1試合も長くなる可能性がありますし、大会もグランドスラムだと2週間ですから。

 テニスはメディアに触れる機会も多いですし、グローバルで、プロスポーツとして確立しているのは大きな強みです。逆にオリンピックになったら急に注目を浴びる競技の選手は、精神的にも対処が難しいでしょう。もちろん、それをエネルギーにすることも可能だとは思います。
 
 また、限られた試合数でオリンピックを迎えることになった競技もありますが、テニスは今年すでに3つのグランドスラムができており、ツアーも行なわれています。規制がある中でも試合をして臨めているのはプラスだと思います。テニス競技はすでに終盤です。メダルの行方を見守っていきましょう。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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