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海外テニス

大坂なおみ“メディア恐怖症”克服のために「私は勝者だ」と毎朝起きてポジティブ宣言!<SMASH>

中村光佑

2021.08.20

いつの間にかメディアが怖くなっていたと語る大坂は、ポジティブシンキングによりこれを克服しようとしている。(C)Getty Images

いつの間にかメディアが怖くなっていたと語る大坂は、ポジティブシンキングによりこれを克服しようとしている。(C)Getty Images

 現地8月19日、女子テニスツアー「ウェスタン&サザン・オープン」(アメリカ:シンシナティ/8月16日~22日/ハードコート/WTA1000)の女子シングルス3回戦が開催され、世界ランク2位で第2シードの大坂なおみは、同65位のジル・タイヒマン(スイス)に6-3、3-6、3-6で敗退。準々決勝進出を逃した。

 序盤から3ゲームを連取した大坂は、第9ゲームでもブレークに成功して第1セットを先取。だが、第2セットに入るとタイヒマンに2つのブレークを喫してセットオールとされる。迎えたファイナルセットでは相手の深いリターンや粘りのプレーに苦戦し、3-6で落として敗退となった。

 今年6月に行なわれた全仏オープンの開幕直前に「人々がアスリートのメンタルヘルスについてあまり考えていないと感じていた」として、突如“記者会見ボイコット”を宣言し、同大会を棄権した大坂。その際に2018年の全米オープン優勝後から長らく精神的なストレスに悩まされていたことを明かしていた。

 シンシナティ開幕前の公式オンライン記者会見では、「メディアを拒む一方で、メディアに出ることで大きな利益を得ているのでは」と問われた直後に涙を流し、会見は約4分間にわたって中断。その時の様子がSNSでも拡散され、国内外を問わず大々的に報道された。

 現地18日のコリ・ガウフ(アメリカ)との2回戦直後に行なわれた記者会見では、「なぜ私はこんなに影響を受けているのか、そもそもメディアに出たくないと思ったのはなぜなのか。それから考えたのは、負けた選手のことを翌日の見出しで『もう終わった選手だ』とか『以前ほどの選手ではない』という風に書いているのを目にすることがあって、私自身も怖くなったのだと思う」とメディアに対して抱いていた心情を告白。
 
 だが、そんななかでも現在はポジティブシンキングを貫いているようで、「毎朝起きた時点で、『私は勝者だ』と思うべきだと考えるようになった。外に出ていって、プレーをして、自分の試合を会場で見てくれるファンを目にする。それ自体が成果じゃないかと思うようにした」とコメントしていた。

 8月14日の朝にマグニチュード7.2の大地震に見舞われた祖国ハイチのために、救援活動の一環として「シンシナティで得た賞金を全額寄付する」と表明していた大坂。獲得賞金を伸ばすためにも今大会では優勝を狙いたいところだったが、残念ながら3回戦敗退に終わった。

 それでも周囲からのプレッシャーに苦しんできた大坂が前向きに考える術を見つけられたことは、更なる飛躍を遂げるための好材料になるだろう。8月30日から開幕する全米オープンでは大会連覇を目指し、大坂らしい力強いテニスで勝ち進んでほしい。

文●中村光佑

【PHOTO】2020全米で2年ぶり2度目の優勝を果たした時の大坂なおみ
 
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