海外テニス

「内面的には十分に整っていない」大坂なおみが全米オープンを前に心境を告白「朝起きられれば勝ちだと思う」<SMASH>

中村光佑

2021.08.30

「なぜこのような気持ちになるのか自問自答した」大坂なおみが、素直な気持ちを綴った。(C)Getty Images

 女子テニス世界ランク3位の大坂なおみが全米オープン(8月30日~9月12日/アメリカ・ニューヨーク/ハードコート/グランドスラム)の開幕を目前に控える中、自身のツイッター(@naomiosaka)に現在の心境を綴った。

 大坂は6月の全仏オープン開幕直前に「人々がアスリートのメンタルヘルスについてあまり考えていないと感じていた」として記者会見ボイコットを宣言し、同大会を棄権。その際に2018年の全米オープン優勝後から心のストレスに悩まされていたことを明かしていた。

 その後は「しばらくコートから離れたい」という理由で米ロサンゼルスの自宅に戻り、7月のウインブルドンも欠場。今夏の東京オリンピックから復帰を果たしたものの、3回戦でマルケタ・ボンドルソバ(チェコ)にストレートで敗退。さらに、シンシナティ開幕前の公式オンライン記者会見では、「メディアを拒む一方で、メディアに出ることで大きな利益を得ているのでは」と問われた直後に涙を流し、会見が約4分間にわたって中断するなど、依然として精神的な不調も続いている。

 日本時間8月30日の未明にツイッターに英語で長文を掲載した大坂は、以前から抱えているメンタルヘルスの問題を次のように自己分析した。

「最近、なぜこのような気持ちになるのかと自問自答していましたが、その理由の一つは、内面的に自分は十分に整っていないと思っているからだと気づきました。自分が良い仕事をしたと自分に言い聞かせたことはありませんが、(反対に)『自分は最低だ』『もっとうまくやれるはずだ』と常に自分に言い聞かせてしまっていたことはわかっています」

 また、「過去には、私のことを謙虚だと言う人もいましたが、よくよく考えてみると、私は非常に自虐的だと思います。新しいチャンスが訪れるたびに、最初に『なぜ私なのだろう』ということを考えていました」とも明かし、次第にネガティブ思考に陥っていたという。
 
 一方で大坂は「私が言いたいのは、『自分自身と自分の業績をもっと称えよう』ということで、みんなそうすべきだと思います」と主張。

 その上で現在は自身でも常に前向きな姿勢を保つために、ポジティブシンキングを貫いているようだ。

「あなたの人生はあなた自身のものであり、他人の基準で自分を評価すべきではありません。私はできる限りのことに心を尽くしていますが、それが十分でない人もいると思います。申し訳ないとは思っていますが、私はもうそのような期待を自分に課すことはできません。世界で起こっていることを見ると、朝起きられれば勝ちだと思っています。それが私の気持ちです」

 全仏での一連の騒動をきっかけに、アスリートのメンタルヘルスに関する議論を巻き起こした大坂。全ての競技で選手が心の不調を訴えやすくなるように、一石を投じられたことは間違いないだろう。大会連覇がかかる今年の全米では持ち味の力強いプレーでファンを魅了してほしい。

文●中村光佑

【PHOTO】東京五輪での大坂なおみの厳選ショット!
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【画像】大坂なおみが現在の自分と向き合い気持ちを素直に綴った