海外テニス

【次代のエースに学べ】“無冠の世界11位”オジェ-アリアシムが放つ体重移動を駆使した弾丸サービス<SMASH>

スマッシュ編集部

2021.09.18

前後の体重移動を効率よく用いてパワーを生み出すオジェ-アリアシム。打点では身体を一直線にして最も高い位置でボールを捉えている。写真:真野博正、(C)Getty Images

 男子テニス界の勢力図が「ニュージェネレーション」と呼ばれる20代前半の若い選手によって塗り替えられようとしている。果たして彼らはどんなプレーを武器とするのか…。

 テニス専門誌『スマッシュ』では、「次代のエースに学べ!世界最先端のサービス」と銘打ち、元デ杯日本代表の辻野隆三氏にそのテクニックを分析してもらった。今回は21歳にしてすでにツアーでは8回決勝進出を果たしているカナダの逸材フェリックス・オジェ-アリアシム(世界ランク/11位)をご紹介しよう。

  ◆    ◆    ◆ 

 今年6月のシュツットガルト大会決勝進出をはじめ、現在までに通算8回にわたりファイナリストを経験しているオジェ-アリアシム。なかなかタイトルに手が届かないのは、やはり精神的な重圧が大きいのかもしれないが、逆に考えれば8度も準優勝する実力はあるので、どこかで1度タイトルを手にすれば一気にブレイクしそうな気配を漂わせる。

 オジェ-アリアシムの魅力はなんといってもハードヒットだ。優れたフィジカルを駆使して放つフォアハンドはベースラインからウイナーが狙えるほどで、バックハンドの切れ味も鋭い。また193センチの長身から放たれるサービスも破壊力抜群。今後の課題を挙げるとすれば、前述した成功体験を得ることに加え、確実にもポイントが狙える「これだ」という武器を手に入れたいところだ。

 そんなオジェ-アリアシムのサービスで特徴的なのは、体重移動を効率よく用いてサービスにパワーを与えている点である。
 
 まず前足のつま先を上げながらサービスの動作に入っている。このように最初からつま先を上げてしまえば自然と体重は後ろへと移動する。一般プレーヤーの場合、「前へ向かう体重移動」は比較的簡単にできるが、「いったん後ろに体重を移動させてから、再び前に体重を移していく」という、「前→後ろ→前」の動きができていない人が多い。サービスの際に体重移動をしてすり足をする人は、写真のように少しつま先を上げることを意識するといい。

 また、インパクト時には身体とラケットがベースラインの内側に入っている。しかもすごいのは、左足からインパクトまで身体が真っすぐになっている点だ。腹筋と背筋が相当強くないと維持できない体勢で、普通の人では身体がくの字に曲がってしまう。体重移動で前に向かいながらジャンプし、身体を直線にして一番高い所で打つ。当然破壊力のあるサービスになる。

【プロフィール】
フェリックス・オジェ-アリアシム
2000年8月8日生まれ。カナダ出身。身長193cm。右利き。バックハンドは両手。14歳でチャレンジャ―大会に出場し、2000年生まれの選手として初めてATPポイントを獲得。17年にプロ転向。現在まで優勝はないが、準優勝は8回あり、19年のリオ・オープンではATP500シリーズで最年少決勝進出を記録した。今年の全米では自身初の4強入りを果たした。自己最高ランキング11位(2021年9月13日付)

【PHOTO】体重移動しながら最も高い打点で捉えるオジェ-アリアシムの弾丸サービス

 
NEXT
PAGE
【動画】オジェ-アリアシムがメドベージェフに挑んだ2021全米OP準決勝ハイライト