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海外テニス

【レジェンドの素顔11】北欧の涼風を感じさせる男、ステファン・エドバーグ│前編

立原修造

2022.12.31

スウェーデン人は北欧の中でも長身が多く、エドバーグも188センチで当時のプロ選手としては大きいほうだった。写真:THE DIGEST写真部

スウェーデン人は北欧の中でも長身が多く、エドバーグも188センチで当時のプロ選手としては大きいほうだった。写真:THE DIGEST写真部

 大一番におけるスーパースターたちの大胆さや小心をのぞいていくシリーズ「レジェンドの素顔」。今回からはテニスの貴公子、ステファン・エドバーグを取り上げよう。

 エドバーグのプレースタイルはネットプレーが主体になっている。ボルグが基礎を固め、ビランデルが発展させたベースラインプレー中心の“スウェーデン流”とは明らかに違っている。

 しかし、素顔のエドバーグは、スウェーデン人の見本のような男である。真に北欧の涼風を感じさせる男だといってもいい。彼を育んできたスウェーデンとは、一体どのような国なのだろうか。

   ◆  ◆  ◆

スウェーデン人を象徴する金髪と長身

 学
術的事情とか、北欧の人と知り合いになりたいとか、とにかく理由は何でもいい。もし、スウェーデン人について詳しく知りたいと考えている人がいたら、その人は実に幸運である。なぜならば、恰好の”教材”が世界を股に掛けて活躍しているからだ。

 その“教材”の名は、ステファン・エドバーグ。彼について知ることは、スウェーデン人全般を知ることにつながる。それほどエドバーグは典型的なスウェーデン人なのだ。

 その根拠はいくらでも示すことができる。例えば、その容貌を見てみよう。スカンジナビア半島に住む北欧の人々は、金髪で長身の北欧人種としてよく知られている。ノルウェー人もフィンランド人も背が高い。しかし、その中で最も背が高いのがスウェーデン人である。

 スウェーデンが世界に誇れるのは重税と長身しかないと皮肉っぽく言う人もいるくらいだ。エドバーグの身長は188センチ。プロプレーヤーの中でも最も長身の部類に入る。

 その恩恵を彼が発揮するのはサービスの時だ。あれほど上体を反らせながらも、なお高い打点で打てるのは、腕の長さのおかげである。彼がセカンドサービスを打つ瞬間こそが、スウェーデン人がその優位性を世界に立証する唯一の時間なのかもしれない。


 さらに、エドバーグは美しい金髪を持っている。これもスウェーデン人の象徴的な容貌の1つである。

 テニスの世界で活躍するスウェーデン・プレーヤーの多くは、”北欧のライオン”というニックネームを頂載する。初代をボルグとすれば、2代目はビランデルということになるだろう。彼らもまた、目に鮮やかな金髪を持っていた。


 ところが、1人だけ異質なスウェーデン人がいる。ミカエル・ペルンフォルスである。彼は人類学的なスウェーデン人の特徴をことごとく覆してしまう。

 まず、長身ではない。173センチとデータブックにはある。世界一ともウワサされる長身ぞろいの本国において、ペルンフォルスはまぎれもなく"少数派"に属する。
しかも、金髪とはいえない。黒みをかなり帯びている。短く刈りそろえている点も特異だ。

 長身でなければ、金髪でもない。ペルンフォルスは実にスウェーデン人らしくない。しかも、それは性格にまで及んでいる。

 
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