「三菱 全日本テニス選手権94th」第4日は10月29日(火)、雨天のため東京・有明コロシアム、スポル品川大井町他の室内コートで、女子シングルス3回戦、男子シングルス2回戦などが行なわれた。
女子では、予選から勝ち上がった大学生、清水映里(早稲田大)が第10シードの美濃越舞(安藤証券)を破ってベスト8入り。また、第2シードのベテラン、波形純理(伊予銀行)は第16シードの秋田史帆(橋本総業HD)に敗れ、女子はトップシード2人が大会から姿を消した。
第4シードの加治遙(島津製作所)は阿部宏美(筑波大)の粘りに苦しみながらも、最後は攻め抜いて2時間45分の激闘に勝利。「こういう試合を乗り切れたのは自信になる。周り(のシードダウン)を気にせず、自分が生き残っていくしかない」と初優勝に照準を定める。他に宮崎百合子(JITC)も8強入りを決めている。
男子でも学生が健闘した。予選上がりの望月勇希(中央大)が第4シードの仁木拓人(三菱電機)を6-2、6-2で破る殊勲。望月は「8月に肩を怪我したので、ここに向けて調整してきた。力を発揮してアピールしたい」と貪欲だ。慶應義塾大2年で第13シードの羽澤慎治も、同じ学生の松本樹(近畿大)を下して3回戦に進んだ。
上位シード勢では、第2シードの今井慎太郎(イカイ)、第6シードの野口莉央(明治安田生命)、第7シードの山﨑純平(日清紡HD)らが勝ち上がった。
◆今日の注目選手=秋田史帆(橋本総業HD)
29歳の秋田史帆が、37歳の第2シード波形純理に6-4、7-6(4)で勝利。2年前の準優勝者が調子を上げてきた。
かつては豪打で鳴らした秋田だが、今は違う。深いスピンやアングルショットなどを交え、コートを広く使って展開し、空いたスペースに得意の強打を叩き込む。
「もともと私はいろんなショットを打てるタイプだったが、若い時はメンタル面で出し切れないことが多かった。年齢と経験を重ね、そういうショットを試合で使えるようになった」。大先輩の波形の上を行くような組み立てでベスト8入りを決めた。
怪我の多い秋田にとって、今大会は珍しく万全のコンディションで臨めている。2年前は決勝に進んだとはいえ、右ヒジや左ヒザに故障を抱え、最後は体力が持たなかった。そして最近もまた故障に苦しめられた。4月に香港の大会で左手首と左ヒザを痛め、その影響で夏場にポイントを稼げず、ランキングは17年の221位から730位まで落ちてしまった。
練習環境から変えなくてはと考えた秋田は、この9月から拠点を荏原SSCに移し、辻雄馬コーチらの指導を受けるようになった。それから調子が上向き、今は身体の不安もない。「SSCでだいぶ練習を積めているので、今日みたいな試合に勝てたのはその成果だと思う」。
今の秋田にとっては思い切りプレーできることが何よりの喜びだ。今大会の目標を尋ねても「何もない。決勝も優勝もない。ベストを尽くして、どこまで行けるか楽しみにしている」と笑う。ドローすら見ていないという彼女は、無欲でこれからの終盤戦に臨む。
取材・文● 渡辺隆康(スマッシュ編集部)
女子では、予選から勝ち上がった大学生、清水映里(早稲田大)が第10シードの美濃越舞(安藤証券)を破ってベスト8入り。また、第2シードのベテラン、波形純理(伊予銀行)は第16シードの秋田史帆(橋本総業HD)に敗れ、女子はトップシード2人が大会から姿を消した。
第4シードの加治遙(島津製作所)は阿部宏美(筑波大)の粘りに苦しみながらも、最後は攻め抜いて2時間45分の激闘に勝利。「こういう試合を乗り切れたのは自信になる。周り(のシードダウン)を気にせず、自分が生き残っていくしかない」と初優勝に照準を定める。他に宮崎百合子(JITC)も8強入りを決めている。
男子でも学生が健闘した。予選上がりの望月勇希(中央大)が第4シードの仁木拓人(三菱電機)を6-2、6-2で破る殊勲。望月は「8月に肩を怪我したので、ここに向けて調整してきた。力を発揮してアピールしたい」と貪欲だ。慶應義塾大2年で第13シードの羽澤慎治も、同じ学生の松本樹(近畿大)を下して3回戦に進んだ。
上位シード勢では、第2シードの今井慎太郎(イカイ)、第6シードの野口莉央(明治安田生命)、第7シードの山﨑純平(日清紡HD)らが勝ち上がった。
◆今日の注目選手=秋田史帆(橋本総業HD)
29歳の秋田史帆が、37歳の第2シード波形純理に6-4、7-6(4)で勝利。2年前の準優勝者が調子を上げてきた。
かつては豪打で鳴らした秋田だが、今は違う。深いスピンやアングルショットなどを交え、コートを広く使って展開し、空いたスペースに得意の強打を叩き込む。
「もともと私はいろんなショットを打てるタイプだったが、若い時はメンタル面で出し切れないことが多かった。年齢と経験を重ね、そういうショットを試合で使えるようになった」。大先輩の波形の上を行くような組み立てでベスト8入りを決めた。
怪我の多い秋田にとって、今大会は珍しく万全のコンディションで臨めている。2年前は決勝に進んだとはいえ、右ヒジや左ヒザに故障を抱え、最後は体力が持たなかった。そして最近もまた故障に苦しめられた。4月に香港の大会で左手首と左ヒザを痛め、その影響で夏場にポイントを稼げず、ランキングは17年の221位から730位まで落ちてしまった。
練習環境から変えなくてはと考えた秋田は、この9月から拠点を荏原SSCに移し、辻雄馬コーチらの指導を受けるようになった。それから調子が上向き、今は身体の不安もない。「SSCでだいぶ練習を積めているので、今日みたいな試合に勝てたのはその成果だと思う」。
今の秋田にとっては思い切りプレーできることが何よりの喜びだ。今大会の目標を尋ねても「何もない。決勝も優勝もない。ベストを尽くして、どこまで行けるか楽しみにしている」と笑う。ドローすら見ていないという彼女は、無欲でこれからの終盤戦に臨む。
取材・文● 渡辺隆康(スマッシュ編集部)