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海外テニス

女子ツアー“初参戦で8強入り”の本玉真唯!躍進のカギは苦境で手にした「自分のテニス」だった<SMASH>

内田暁

2021.10.04

本玉にとってWTAツアー本戦はこれが初めてだったが、新たに手にした“自分のテニス”を貫くことでベスト8へと駆け上がった(写真は2020年全日本選手権)。写真:THE DIGEST写真部

本玉にとってWTAツアー本戦はこれが初めてだったが、新たに手にした“自分のテニス”を貫くことでベスト8へと駆け上がった(写真は2020年全日本選手権)。写真:THE DIGEST写真部

「負けて悔しい気持ちの方が試合直後なので大きいですが、一大会通して自分がここまで勝ち上がれたのは信じられないですし、トップともやりあえるとわかった、良い大会だったなと思っています」

 シカゴ・フォール・テニス・クラシック準々決勝の試合から、約1時間後。

 世界9位(当時)のガルビネ・ムグルサに敗れた本玉真唯は、種々の感情入り混じる胸の内を、率直な言葉に託した。シカゴの大会のカテゴリーは“WTA500”で、これはグランドスラム、そしてWTA1000に次ぐ上から3番目の格付け。トップ10プレーヤーも3人顔をそろえた、ハイレベルなトーナメントだ。

 先週の時点でランキング200位だった本玉は、この大会に予選から参戦。予選2試合を勝ち上がってWTAツアー本戦デビューを果たすと、初戦で59位のキャロライン・ガルシアに快勝する。さらに2回戦を不戦勝で突破すると、3回戦では、今季絶好調のシェルビー・ロジャースに逆転勝利。予選からの快進撃はムグルサに止められるも、3-6、2-6のスコアより遥かに競った内容であることは、勝者の「タフな試合だった。第1セットを取れたのが鍵だった」の安堵の言葉に映されている。
 
 16歳時に世界スーパージュニアを制し、元世界24位の神尾米の薫陶を受ける本玉は、その経歴だけを見れば、エリートと呼べるかもしれない。だが、プロ転向の年にITFが試験的に導入したランキングシステムのため思い描いたプランが崩れ、調子を上げたタイミングで、今度はツアーがコロナ禍による中断期に突入した。

 実戦がこなせず、モチベーションを保つのも難しかった1年間。だがその間に抱えた課題に向き合い、それを克服するべく練習コートに立った。その具体的な内容とは、「無理に決めにいかず、何球でもミスせずボールを打ち返す」や、「オープンコートに打つときに緊張する癖を克服するため、オープンコートを作って決める」など。練習環境も、指導者たちは同じながら、欧米の主流である高く跳ねるハードコートに拠点を移した。
 
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