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【全豪オープン予選】予選決勝に進んだ好調なダニエル太郎。要因は「プレーとメンタリティの噛み合い」<SMASH>

内田暁

2022.01.13

全豪オープン予選決勝進出を決めて、笑顔のダニエル太郎。写真:内田暁

 最後はバックの強打をダウンザラインに叩き込み、鮮やかなウィナーで勝利をつかみ取った。

 現在のランキングは120位ながら、開幕戦のアデレード大会では、予選を勝ち上がり本戦2回戦へ。その好感触を手のひらに留めるダニエルが、全豪オープンテニス予選も2試合連続のストレート勝利で、予選決勝へと歩みを進めた。

 現在のダニエルの好調を支えるのは、「プレーとメンタリティの噛み合い」だという。予選2回戦でも、片手バックハンドで広角に打ち分ける相手のプレーに序盤は手を焼くも、徐々に自分のリズムに持ち込んだ。

「ボコボコ打ってくるタイプではない」とわかると、相手の浅いボールにはポジションを上げ、深いストロークで打ち合いを支配する。終わってみれば、6-3、6-1のスコアで、試合時間は1時間16分。13のウィナーに対しエラーは8。ネットプレーも7本決めるなど、プレーの幅の広さも見せての完勝だ。
 
 プレー内容が、実生活や人生論とも不可分だと知るダニエルにとり、日々の生活を含めテニスとどう向き合うかの探求は、終わりなき命題だ。

 昨年のダニエルは、「ミスをすると、自分をパニッシュ(罰する)してしまう」というメンタリティの変革を、主なテーマとしてきた。
 
 昨年末のオフシーズンでは、そこから一歩踏み込んで、「テニスと精神状態がどのように連動しているかを常に考え、なぜミスをしたのか分析するようにした」という。

 今でもまだ、「なんでミスをしたんだと、自分を責める声が聞こえてくることもある」と苦く笑う。そんな時は、頭の中に響く声を打ち消すように、ロジックを組み立てた。

 同時に、オン・オフのメリハリをつけるためにも、「テニスをしていない時は、思いっきり自分のしたいことをするようにした」とも言う。「精神的にもテニス的にも良い時間を過ごせた」というオフシーズンが、好スタートの起点にあるようだ。

 本戦出場をかけ、ダニエルが予選3回戦で対戦するのは、29歳のサルバトーレ・カルーソ。イタリア人選手との対戦は、これが3連続という奇遇だ。

 もっとも、粘り強いストローカーは、ダニエルにとって組みやすい相手。悩みと試行錯誤を重ね、今また新たなスタイルを構築しつつあるダニエルが、18回目のグランドスラム本戦出場に挑む。

◆男子シングルス予選2回戦の結果(1月13日)
ダニエル太郎(日本)[7] 6-3 6-1 ジャン・マルコ・モロニ(イタリア)

現地取材・文●内田暁

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