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海外テニス

「全てはプロセスだ!」元王者マリーに勝ったダニエル太郎!その強さを引き出す“テニス求道者”としての生き方<SMASH>

内田暁

2022.01.22

これまでやってきたことが噛み合い、キャリアを通じて初めてグランドスラム3回戦へと駒を進めたダニエル太郎。(C)Getty Images

これまでやってきたことが噛み合い、キャリアを通じて初めてグランドスラム3回戦へと駒を進めたダニエル太郎。(C)Getty Images

 サーブ&ボレーで試合に終止符を打った時、痺れを取り払うように手を振る仕草が、スコアに表れぬ激闘の内実を物語っていた。
 
「マッチポイントでは、彼は粘ってくるだろうから、びっくりするようなポイントを、リスクをとってやってみたら、うまくいったって感じです」
 
 ジョン・ケイン・アリーナに詰めかけた観客の多くは、人工股関節の大手術から奇跡的な復帰を果たしたアンディ・マリーに、情熱的な声援を送る。その声が止むまでサーブの手を止めたダニエル太郎に、主審は「タイムバイオレーション」を与えた。

「音が出ていたから止めたのに、ちょっとアンフェアだ」

 一瞬、心が乱れかけるが、すぐに「抗議しても変えられない。ポイントに集中しよう」と自分を諭す。

 ダニエルが値千金のサーブ&ボレーを決めたのは、その直後のことである。

 マッチポイントに象徴されるように、マリー戦のダニエルのプレーが以前と大きく異なることは、彼のテニスを以前から見てきた者の目には明らかだろう。

 ベースラインから下がらず、コンパクトなスイングでボールを左右に打ち分ける。特にマリー戦で効果的だったのは、フォアのループでカウンターを封じ、浅くなったボールを叩き込むパターンだ。
 
 今大会、予選も含めて、ループをここまで効果的に使った試合は無かっただろう。その戦術選択の背景には、ジョン・ケイン・アリーナという、コートの特性もあった。

「今大会のコートが速い」とは多くの選手が口にすることだが、アリーナはその限りではないようだ。ダニエルも「スタジアムコートは外のコートより遅いので、ああいうボール(=ループ)を使う時間もある」という。加えて、「マリーは、時間はくれる」という相手のプレースタイルも加味した上で、選んだ戦略がハマった。

 さらにこの試合でダニエルを支えたのは、最速で212キロを計測したサーブだ。それもスピードのみに頼るのではなく、コースと球種、さらには「3球目からの展開」のバリエーションにも長ける。82パーセントのブレークポイント阻止率、そして79%のファーストサーブポイント確率は、いずれも相手を大きく上回る数字だ。
 
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