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「彼は全アルファベットを知っている」コーチのモヤがナダルのテニスIQと進化への欲求を評価<SMASH>

中村光佑

2022.02.15

苦境から挽回し全豪オープンに優勝したナダル(左)とコーチのモヤ氏。(C)Getty Images

 2016年から男子テニスのラファエル・ナダル(スペイン/世界ランク5位)のコーチを務めるカルロス・モヤ氏が、スペインのテニス専門メディア『Punto de Break』のインタビューに登場。先月の全豪オープンで見事優勝を果たしたナダルについて「まだまだ選手として進化を続けている」と称賛した。

 昨年8月に慢性的な左足のケガを理由に2021年シーズンを終了したナダル。同年12月半ばには新型コロナウイルスにも感染し、立て続けに苦しい状況が続いていた中で新シーズンを迎えた。それでも年初のメルボルン大会(ATP250)で優勝を飾ると、全豪では苦しみながらも決勝へと進出。

 その決勝では世界2位のダニール・メドベージェフ(ロシア)を相手に2セットダウンと絶体絶命のピンチに立たされながらも驚異的なカムバックを見せ、5時間を超える死闘の末に2009年大会以来13年ぶりとなる2度目の全豪制覇を成し遂げた。これによりナダルは男子テニス史上最多となる21回目のグランドスラム優勝を達成。ロジャー・フェデラー(スイス/30位)とノバク・ジョコビッチ(セルビア/1位)の20回を抜き、テニス界に新たな歴史の1ページを刻み込んだ。

「やはり年齢は不利に働いてしまうんだ」と、衰えを知らない35歳にもいずれは厳しい現実が待ち受けていることを認めたモヤ氏。だが、多くの若手選手が台頭してきた中でもいまだに第一線で活躍を続けられる秘訣について、ナダルが試合中に発揮できる「知性」が大きく関係しているのだという。

「私はいつもラファはコート上で最も知的な選手の一人であり、ゲームを最もよく読み、プランB、プランCを持っている選手の一人だと言ってきた。彼は全アルファベットを知っていると言いたいね。ライバルにわずかなスキがあると見れば、それをすぐに察知する。全豪オープンの決勝がいい例で、最初はうまくいかなかったのに、少しずつ変わっていった。それが彼の中にあるアドレナリンなんだ」
 
 さらに数々の輝かしい功績を残してきたにもかかわらず、ナダルが飽くなき探求心を持ち続けていることも他の選手の追随を簡単に許さない理由なのだと明かす。

「以前話をしたときに、もう一度グランドスラムで勝ちたいという彼のモチベーションの高さを目の当たりにして、何が起きてもおかしくないと確信した。私は彼を長年知っていて、どこに改善の余地があるかもわかっていた。2017年の全豪から物事がうまくいったね」

「ラファが求めているのは競争力を維持して、進化をし続けることだ。キャリアを伸ばしたいならリスクを取るしかないということで、常に変化に対してオープンであったことがいい結果をもたらすことにつながっている。人々は彼の持つクオリティに気づいていない。何を提案しても、彼はそれを実行するんだ」

 そんなナダルは2月21日から開催される「メキシコ・オープン」(メキシコ・アカプルコ/ハードコート/ATP500)に出場を予定している。全豪以来約1ヶ月ぶりの公式戦となるわけだが、どのようなプレーを見せてくれるのか注目したいところだ。

文●中村光佑

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