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車いすテニスのジュニア王者、小田凱人が15歳11か月でプロ転向!「病気と闘う子どもたちのヒーローになりたい」<SMASH>

スマッシュ編集部

2022.04.28

サービスをはじめ、パワーショットが武器だという小田凱人。日本車いすテニス界期待の星がプロ転向を果たした。(C)Getty Images

 車いすテニスで世界ジュニアランキング1位に君臨する小田凱人(オダトキト/東海理化電機製作所)が、4月28日にプロ転向を宣言。オンラインで記者会見を行ない、「病気で闘っている子どもたちのヒーロー的な選手になれるように頑張りたい」など、今後の抱負を語った。

 2006年5月8日生まれの小田は、9歳の時に骨肉腫のため車いす生活となり、10歳から車いすテニスをスタート。14歳11か月18日の史上最年少でジュニアの世界ランク1位に上り詰め、現在はシニアでも世界9位に付けている逸材だ。今回、15歳11か月20日でプロとなったが、これも国内の最年少記録である。

「最初は本当にプロになれるのか不安もあった」という小田だが、「最近は世界のトップと対戦し、どの選手もテニスに人生を懸けているなかで自分も9位にいる。そこで勝っていくために、プロになることは年齢に関係なく必要だと感じた」と、転向を決意した理由を説明。今春、中学を卒業して通信制の高校に進んだこと、スポンサーの支援により練習環境が整ったことなどもあり、この日の発表となった。

 車いすテニスというと、第一人者の国枝慎吾が絶対的な存在感を放つ。小田はその国枝と今年1月にメルボルンで初対戦し、6-7、6-7で惜敗した。「自分の武器である、一発で仕留めるパワーショットが通用したのかなとは感じた。でも国枝さんのメンタルや経験などが最後の最後に出て、自分は力及ばなかった」と振り返る。
 
 敗れたとはいえ、競技歴5年ほどで国枝とそこまで戦えるのは驚異的だ。「国枝さんのピンチをチャンスに変える力など、負けたからこそ学ぶことも多かった」と語る小田には、まだまだ伸びしろがあるだろう。

 小田のプロデビュー戦は、5月2日からポルトガルで開催されるワールドチームカップになる。史上最年少で日本代表に選ばれた小田は、国枝らと共に世界の頂点を目指す。そして5月末にはキャリア初のグランドスラム、全仏オープンに出場する予定だ。

「初めて四大大会に出るが、クレーは得意なサーフェスでもある。優勝できるような練習、モチベーションが徐々に揃ってきているので、しっかり勝利できるように頑張りたい」と意気込みを語った。

 そして小田がその先に見据える目標は、アルフィー・ヒューエット(英国)が持つシニアの世界1位最年少記録(20歳1か月23日)を更新することだ。「ただ勝つのではなく、この年齢を武器にして戦いたいというのはもともとあった。『より早く』というのは自分でもかなり意識している」

 そのためにも、プロデビュー早々から大舞台で暴れまくってほしいところだ。

構成●スマッシュ編集部

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