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【テニスギア講座】近年人気のポリエステル系ガット。どれも同じに見える物の違いとは?<SMASH>

松尾高司

2022.04.29

激しいインパクトによってこそ強靭な伸縮性を発揮するポリ系は、トッププロに強烈な爆発力を提供し、高反発フレームによる飛びすぎを抑制する。(C)Getty Images

激しいインパクトによってこそ強靭な伸縮性を発揮するポリ系は、トッププロに強烈な爆発力を提供し、高反発フレームによる飛びすぎを抑制する。(C)Getty Images

 現代のストリング(ガット)の大半が人工のシンセティックです。そのなかでも新分野として「ポリエステル系」が独立する傾向にあります。理由は、あまりに従来のシンセティックと性能差が大きいから。

 いまや「ナチュラル」「ナイロン」「ポリ」と分類されるほど、ポリ系はまるで違う打球性能を発揮します。しかしそれは「強烈にインパクトできるハードヒッター」にこそ適性があり、全ての人にメリットを与えてはくれません。

 一般にナイロン系は、マルチフィラメントが「マイルドな打球感」、モノフィラメントが「張りのある瞬発感」を特徴とします。それよりもはるかに打球感が硬く、飛ばないのがポリ系です。最近では「柔らかいポリ系」と謳う物も増えていますが、やはりナイロンとは別世界と考えてください。

 ナイロン系は、太い芯糸、細い側糸などの構造・組み合わせが個性を生みますが、ポリ系は完全な単一構造ですから、基本的に性能の違いは「素材」によります。これを判断するのが難しいのです。

 ポリ系は多種類のプラスティック成分のブレンドによって作られますが、この成分比率が開示されたとしても、我々がそこから想像・判断することなど無理です。ユーザーはメーカーが表示する性能特性を手掛かりに、自分との相性を予測しながらベストを探していくしかありません。
 
 ただし、1つヒントになるのが「断面形状」です。単独モノ構造であるポリ系は、製造上のメリットとして断面形状の自由が利きます。

 ナイロン系は複数の糸を撚り合わせるため基本的に円形(凸凹構造は可)ですが、ポリ系は溶融した樹脂素材を小さな射出口から押し出して作ります。そのため「射出口の形」次第で、断面形状を自由にアレンジできるのです。

 実際、ポリ系には断面形状が三角形・五角形・六角形・歯車型などがあり、こうした多角形型は、一般に「スピン系ポリ」と呼ばれ、角ばっていることでボールへ引っかかりやすいとされます。

 角の数が少なく鋭角であるほど引っかかりが強くなりますが、ボールへのダメージも大きく、逆に角の数があまりに多いと丸型に近くなり、角型の意味が薄らぎます。そういうわけで、近年では五角形と六角形が多くなっています。

 最近のポリ系で注目されるのは「単独ハイブリッド」です。そもそもハイブリッドとは異素材を組み合わせたものを指し、テニスでは縦糸と横糸の種類を違えて張る方法を言います。

 それに対して単独ハイブリッドは、1本のストリングにポリ系の極細繊維と、ナイロン繊維やポリウレタン樹脂などをミックス。ポリ系の強固さを備えながら、打感をマイルドにする素材をアレンジしているわけです。

 またポリ系単独素材でも、ナイロンマルチと同じ構造で、ポリ系の極細繊維を束ねている「ポリ系マルチ」も登場しています。様々な派生タイプがあるので、どれが自分にフィットするのか色々試してみるといいでしょう。

文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2020年6月号より抜粋・再編集

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