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海外テニス

アルカラスによる“革命”か、ジョコビッチやナダルの“ルネサンス”か。混沌とした男子テニス界を徹底分析【全仏OP展望】

THE DIGEST編集部

2022.05.22

19歳の王者候補として全仏に乗り込むアルカラス(中央)。ジョコビッチ(左)、ナダル(右)は勢いを止められるだろうか。(C)Getty Images

19歳の王者候補として全仏に乗り込むアルカラス(中央)。ジョコビッチ(左)、ナダル(右)は勢いを止められるだろうか。(C)Getty Images

 いったいこの数年間で、何度、“世代交代”の言葉が叫ばれてきただろうか?

【動画】マドリードを制したアルカラスのナダル、ジョコビッチ戦をプレーバック

 ロジャー・フェデラー(スイス)とラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)にアンディ・マリー(イギリス)の「ビッグ4」がグランドスラムを独占。その支配体制は、彼らが30歳を超えても揺らがなかった。その間の男子テニス史とは、ビッグ4に新勢力が挑む構図のくり返しだった。

 錦織圭やマリン・チリッチ(クロアチア)らが、ビッグ4に挑んだ最初の新世代だったろうか。昨年の全仏準優勝者のステファノス・チチパス(ギリシャ)らが重い扉を叩き続け、9月の全米オープンではついに、ダニール・メドベージェフ(ロシア)がジョコビッチを破って優勝した。

 それでも、今年2月の全豪オープンではナダルがメドベージェフを破り優勝。数いる“新時代の旗手”たちも20代半ばを迎え、それでも誰が頂点に立つのかは、まだ見えない。そんな混沌の中に、突如として王者候補として名乗りを上げたのが、19歳の誕生日を迎えたばかりのカルロス・アルカラス(スペイン)だ。

 数年前から関係者の間でその名を囁かれ、昨年には誰もが「新時代のテニスの体現者」と刮目していた新星が、ここに来て一気に光を増した。

 今季はここまで、28勝3敗。優勝回数は、2つのATPマスターズ1000大会を含む4回。とりわけ際立つのは、準々決勝でナダルを、準決勝でジョコビッチを破り手にした、マドリード・オープンのタイトルだ。ジョコビッチ相手に3時間越えの死闘を制し、その勝利に安堵も満足もせず決勝で快勝する姿は、確かに王者の資質を放っていた。

 オフコートでの謙虚な姿勢と、コート上の闘争心から「ナダル2世」と呼ばれるアルカラスだが、プレースタイルは、敬愛する大先輩とはかなり異なる。強打を叩き込み、相手の返球が浅くなりそうだと察知すれば、迷わず前に出てボレーも決める。ビッグサーバーではないが、サーブ&ボレーもお手の物だ。マイアミ・オープンの決勝でも、優勝を決めた最後のプレーはサーブ&ボレー。

「チャンスがあれば、どんどん挑戦し攻めなくてはいけない。それが、僕のコーチの教えなんだ」

 満面の笑みでアルカラスが語る「コーチ」とは、元世界1位のファン・カルロス・フェレーロ氏(スペイン)。ナダルもその成長に目を細めるアルカラスは、スペイン王者の系譜を受け継ぐ存在として、温かな期待を注がれながら、すくすく育ってきた悠揚たるスケール感がある。

 かくして19歳の王者候補に関心が集まりはするが、グランドスラムにおけるビッグ4の強さは異次元だ。
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