海外テニス

19歳の新鋭ルネが昨年の準優勝者チチパスから金星を挙げる「本当に信じられないような気持ち」<SMASH>

中村光佑

2022.05.31

全仏4回戦でチチパスを破り、自身初となるグランドスラム8強入りしたルネ。(C)Getty Images

 現在開催中のテニス四大大会「全仏オープン」は現地5月30日に男子シングルス4回戦を実施。世界ランク40位で19歳のオルガー・ルネ(デンマーク)が同4位で前回大会ファイナリストのステファノス・チチパス(ギリシャ)を7-5、3-6、6-3、6-4で破るというアップセットを起こし、グランドスラム初のベスト8進出を決めた。

 1回戦で第14シードのデニス・シャポバロフ(カナダ/15位)をストレートで撃破し、3度目の挑戦にしてグランドスラム本戦初勝利を挙げたルネ。今大会は失セット数0と19歳とは思えない安定したプレーで快進撃を続けてきた。

 前哨戦のBMWオープン(ドイツ:ミュンヘン/クレー/ATP250)でツアー初優勝を飾ったルネは、この日の4回戦でも昨年大会準優勝のチチパスを相手に堂々としたプレーを披露し、2度のブレークを奪って第1セットを先取。第2セットは焦りからかミスを重ねてセットオールに持ち込まれるも、第3セットではルネが伸びのあるショットで再びラリーを支配してリードを広げ、勝利に王手をかける。

 迎えた第4セット、一気に勝負を決めにいこうとルネは積極的な攻撃を仕掛けてチチパスに流れを渡さず、第5、第7ゲームでブレークに成功。一時ブレークバックを許すもなんとかリードを守り切り、3時間1分の接戦を制した。
 
 家族が見守る中でチチパスから大金星を挙げ、試合後のオンコートインタビューでは「今は本当に信じられないような気持ちだよ」と喜びをあらわにしたルネ。

 そして19歳の新鋭は「ステファノスは浅いボールを攻撃してくるから、僕はできるだけアグレッシブにプレーしようと思っていたんだ。攻撃的にプレーすることで彼から時間を奪う必要があった」と試合プランを明かした。

「自分の戦術が生かせなくなるようなことがあれば、間違いなく負けるとわかっていたんだ。だからタフな場面でも動き続けよう、プレーし続けようと自分に言い聞かせた。それが最後にはとてもうまくいったから、大きな自信になったよ」とコメント。相手を冷静に分析できたことや常に前向きな姿勢でいられたことが勝利につながったようだ。

 1968年のオープン化以降デンマーク人男子選手として初の四大大会8強入りを達成したルネは次なる準々決勝で第8シードのキャスパー・ルード(ノルウェー/8位)と対戦する。ツアー屈指のクレーコーターを相手にルネがどんな戦いを見せてくれるのか注目だ。

文●中村光佑

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【動画】19歳のルネが世界4位のチチパスから金星を挙げた試合のハイライト