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海外テニス

テニス界で頻発する粗暴な振る舞い…。その一因は、電子判定の普及で選手の不満のはけ口がなくなったから?<SMASH>

内田暁

2022.07.06

ウインブルドン3回戦、キリオスとチチパスの試合は不穏な空気が漂い、荒れた展開となった。最近、コート上で感情を乱す選手がとみに目立つ。(C)Getty Images

ウインブルドン3回戦、キリオスとチチパスの試合は不穏な空気が漂い、荒れた展開となった。最近、コート上で感情を乱す選手がとみに目立つ。(C)Getty Images

 ウインブルドンテニス、大会1週目屈指の好カードと目されたニック・キリオス対ステファノス・チチパス戦は、期待通りの接戦となったが、試合内容以上に舌戦と蛮行に話題が集まる後味の悪い結末となった。

 2回戦では、アレハンドロ・ダビドビッチフォキナが最終セットタイブレークの大熱戦の末に、マッチポイントでポイントペナルティを犯し敗れる珍事が発生した。

 今年3月にアレクサンダー・ズベレフが審判台をラケットで殴打した件や、全仏オープンでイリナ-カメリア・ベグの投げたラケットが客席に飛び込んだことなど、選手の粗暴さが何かと俎上に乗る昨今。今回のウインブルドンでも、その流れは続いている。

 とりわけキリオスとチチパスの一戦は、両者ともに高額罰金を課される荒れ模様だ。もっとも、初戦で観客に向けツバを吐いたことに比べれば、この日のキリオスの行為は“通常運転”の範疇だったかもしれない。主審の判定に不満をあらわにし、チェンジオーバーのたびに抗議をする。4000ドルの罰金の対象となったのは、猥褻な言葉を発したためだ。
 
 それらキリオスのせわしなさに、平常心を失いかけたのが、チチパスである。第2セットを落とすと、苛立ちから客席にボールを打ち込んだ。不幸中の幸いでボールは観客を直撃こそしなかったものの、壁に跳ね返った後、観戦者の後頭部にぶつかったようにも見えた。

 この行為でチチパスは“コードバイオレーション”を受けるが、キリオスは収まらない。

「失格だ! あれは失格だ! 俺が同じことをしたら、失格にするだろう!」

 そう激しく主張するキリオスは、その後も「なんで彼がまだコート上にいるんだ!」「スーパーバイザーを全員呼べ!」と主審に詰め寄った。

 後にチチパスは、ボールを打ち込んだ行為について「全面的に自分が悪かった」と陳謝するも、同時に、執拗に抗議を繰り返すキリオスについては「ものすごく不快だ」「彼は弱い者いじめをするタイプ」と歯に衣着せぬ物言いに終始。試合中にも、キリオスを狙ったかに見える強打が、ベースライン後方の壁を直撃する場面も。その件について問われると、「彼を狙ったボールが外れた」とあっさり認め、会見室の空気を凍り付かせた。
 
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