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海外テニス

イギリスで国枝慎吾がクリニックを実施。日本の車いすテニスの環境に「世界が変わっていくのは感じた」と持論<SMASH>

内田暁

2022.07.08

金メダリストの国枝慎吾とゴードン・リードが、21名の参加者たちと交流。写真提供:ユニクロ

金メダリストの国枝慎吾とゴードン・リードが、21名の参加者たちと交流。写真提供:ユニクロ

 2012年のロンドン・パラリンピックから10年――。金メダルを獲得した思い出の地に、国枝慎吾が返ってきた。

 ロンドン郊外に位置する、リー・バレー・ホッケー・アンド・テニスセンター。パラリンピック車いすテニス会場のインドアコートで、現在開催中のウインブルドンの“ミドルサンデー”に相当する7月3日に、車いすテニスのクリニックが開催された。

 主催はITF(国際テニス連盟)で、協賛したのは、車いすテニスツアーのタイトルスポンサーもつとめるユニクロ。そして、同社のブランドアンバサダーである国枝と英国のゴードン・リードが、“先生役”をつとめた。

 このイベントの参加者は、英国を拠点とする9~19歳の車いすテニスプレーヤー。まだラケットを握ったばかりという子から、既に競技大会で活躍する上級者もいる。それら多種多様な21名の参加者たちと、2人の金メダリストはボールを打ち合い、助言を与え、質疑応答形式のパネルディスカッションで交流を深めた。

 その国枝を驚かせ喜ばせたのは、クリニックに集まった人数と多様性だ。

「まず人数にびっくりしました。イギリスは、車いすテニスをやる子たちが増えているんだなと思いました」
 
 参加者から向けられた質問もバリエーションに富み、それらに対する国枝とゴードンの回答も含蓄に富む。「キャリア最大の達成感」を問われた時には、国枝は、右肘のケガから復帰までのプロセスを語り聞かせた。

「2016年にヒジを痛め、3か月しっかり休んでコートに戻ったのに、最初のボールを打った時に、すでに痛かった。ボールが飛んでくるのが、怖かった。色々と試し、グリップを変えて打ったら痛みがなくなったことから全ては始まった。最初は打球がネットに届かないところから始め、2018年の全豪オープンで優勝できたのが、キャリア最大の達成感だった」

 一方のゴードンが「最大の功績」に挙げたのは、車いすテニスそのものの普及と発展への貢献だ。

「テニスで大変なのは、試合で負けた時に『自分は“失敗者だ”』と思ってしまうこと。でも2012年のパラリンピックから、多くのことが変わり始めた。ウインブルドンのテレビ中継も始まり、シンゴを含め多くのレベルの高い試合がテレビで見られるようになった。

 おかげで、会場に足を運んでくれる人も増えた。その流れで2016年のリオ・パラリンピックで、僕は金メダルを取った。そのことで車いすテニスへの人々の関心を一層高めることができたのが、僕が最も達成感を覚えること」
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