海外テニス

ジョコビッチの全豪出場に光明? ディレクターが「ベストを尽くしている」と発言。全米出場を推す動きも<SMASH>

中村光佑

2022.07.14

今年の全豪オープンでは会場入りしながら、国外退去となったジョコビッチ。今後のグランドスラムに向けては様々な動きが見られる。(C)Getty Images

 テニス四大大会「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/ハードコート/グランドスラム)のトーナメントディレクターを務めるクレイグ・タイリー氏が、今年1月のオーストラリア入国問題で同大会の欠場を余儀なくされたノバク・ジョコビッチ(セルビア/世界ランキング7位)の2023年大会の参戦について「彼はいつでも歓迎される」と語った。

 今年の全豪は新型コロナウイルス感染拡大防止策の一環として、出場する全選手に2度のワクチン接種を義務化。4連覇のかかる同大会の出場に向けてメルボルンに到着したジョコビッチはワクチン接種を完了していなかったものの、例外規定によりオーストラリアテニス連盟が接種免除と入国を許可した。

 ところがその後、豪政府が「ルールはルールだ」として彼の入国を認めず、ジョコビッチの弁護団が国外退去への異議申し立てを行なう事態へと発展。最終審理の結果、同選手は国外退去となってしまった。

 そして現時点で豪政府は、敗訴したジョコビッチに対し「今後3年間はオーストラリアに足を踏み入れることはできない」としている。

 これを踏まえて海外スポーツ専門チャンネル『Sport Klub』のインタビューに応じたタイリー氏は「ジョコビッチが全豪に出場できるかどうかについては、我々がコントロールできるものではない」としつつも、「その件については今、彼のチームと連絡を取り合っているところだ」と告白。
 
「我々はベストを尽くしていると思う」としたうえで、「ノバクはいつでも歓迎される。国内の多くのテニスファンが彼のプレーを見たがっている」ともコメントした。

 ちなみにオーストラリアでは今年5月末に政権が交代し、労働党党首であったアンソニー・アルバニージ氏が第31代首相に就任。イギリスのタブロイド紙『Daily Mail』によると、アルバニージ氏は大の"テニス好き"として知られており、ジョコビッチの3年間にわたる入国禁止措置の停止を求める形で豪テニス連盟と緊密にコンタクトを取っているという。

 接種義務が課されている年内最後のグランドスラム「全米オープン」(8月29日~9月11日/アメリカ・ニューヨーク/ハードコート)についても、欠場が見込まれているジョコビッチ。豪入国問題をめぐっては各方面から批判を浴びたが、現在は「身体を気遣いたい」という理由でワクチン接種を拒否し続ける35歳のレジェンドに、同情する声も多く上がっている。

 その一例として、アメリカ上院議員のランド・ポール氏は7月13日に更新した自身のツイッター(@RandPaul)で「ウインブルドン優勝者のノバク・ジョコビッチによる、医療の自由を求める英雄的な姿勢に賛成。すでに自然免疫を持っている者のアメリカ訪問を禁じるという非科学的な政策にはブーイングだ」と、過剰な感染拡大防止プロトコルを掲げる米政府を批判した。

文●中村光佑

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