海外テニス

「心構えが変わりました」パートナーと“試合を楽しむ”気持ちを取り戻した加藤未唯が4週連続の好成績!<SMASH>

内田暁

2022.08.24

バンクーバーのWTA125を制した加藤未唯/マホメド組。2人の個性がうまく噛み合い、初ペアながら全試合ストレート勝ちで頂点へ! 写真提供:加藤未唯

 楽しい時、うれしい時、彼女は文字通り飛び跳ねて、無邪気な笑みを顔中に広げる。

 全米オープンテニスに先駆けて、カナダ・バンクーバーで開催された「バン・オープン」。今年からWTAチャレンジャー(125シリーズ)に昇格したこの大会で、加藤未唯は幾度も飛び跳ね、そのたびに客席からは大歓声が湧き起った。

「それは、お客さんが理由ですね。あんな盛り上がってくれるのは、カナダやアメリカの北米くらい。特にこの大会は、すごくお客さんが来てくれるので。これは楽しいです」

 笑顔の理由を、彼女は端的にそう述べた。

"楽しい"は彼女にとって、好プレーに欠かせぬファクターだ。もとより身体能力に優れ、ジャンピングボレーやスマッシュなど、派手なプレーが得手なタイプ。その"魅せる"プレーに観客が沸き、すると観客の声を追い風として、コート狭しと小柄な身体が躍動する。テニス愛好家が集うバン・オープンは、そんな好循環を彼女にもたらす格好の舞台だ。
 
 初めて組んだパートナーのエイジア・マホメドとの相性も、「楽しい」の重要因子。長身のマホメドがサービスで崩し、前衛で加藤が自由に動く。そのパターンが噛み合い、快勝を重ねた先の決勝戦で、2人はティメア・バボス/アンジェラ・クリコフ組との対戦を迎えた。

 バボスは、グランドスラム複4度の優勝を誇る元世界1位で、クリコフは米国大学上がりのダブルス巧者。相手も同大会で初めて組むペアながら、強敵なのは間違いなかった。

 元世界1位の実力は、サービスゲームで発揮される。立ち上がり、バボスのサービスでは2ゲームで1ポイントしか奪えなかった。

 そこで加藤とマホメドは、素早く意思を交わし、バボス対策を話し合う。

「ファーストサーブをロブで返し、ストレートアタックも使いながら、2人で下がって対応しよう」

 その策が奏功し始めたのは、バボスの3回目のサービスゲーム。40-0から4ポイント連取でブレークする、最高の形で第1セットを奪取した。
 
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楽しめるパートナーとの出会いが流れを変えた