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【テニスギア講座】ラケットの「スイングウェイト」に注目! 振りやすさと打球パワーを端的に表す数字<SMASH>

松尾高司

2022.09.25

同じイーブンバランスでもスイングウェイトが違えば振り始めやすさは異なる(右上)。多くのプロは持ち込むラケットの重量・バランス・スイングウェイトを揃えているものだ。写真:THE DIGEST写真部(作図:松尾高司)

 テニスラケットのカタログを見ると、フレームの特性を示すために長さ・重さ・フレーム厚・バランスなどの「スペックデータ」が表示されています。長さや重さは直感的にわかるでしょうが、「バランス」って何?

 カタログ上の「バランス」とは「静的バランス」のことです。ラケットを置いた状態で、フレームの先端からグリップまででバランスが取れるポイントを測り、その位置がグリップエンドから何ミリかで表示されます。フレーム形状に自由度がなかったウッドラケット時代は、この数値だけで扱いやすさの想像がついたものです。

 ところが20年ほど前から「実はスイングウェイトが重要だ」と言われるようになりました。ラケットの素材であるカーボンの品質が上がってフレーム成型の自由度が増したため、様々な重量配分が可能になり、同じ全体重量であっても振りやすさのバリエーションが生まれるようになったからです。
 
 添付した「図1」を見てください。これはラケットの先端からグリップまでを表したイラストで、厚さは重量配分を示します。つまり1は先端とグリップ近くに重量が配分され、2は中央部に集中しているということです。

 1、2、3とも同じ全体重量で、バランスも全て真ん中(イーブンバランス)で釣り合っており、スペック上は全く同じ。でもスイングの振り始めやすさはまるで異なり、軽く振り出せる順に「2>3>1」となります。

 また、スイングし始めるのに力は必要だけど、振り出してしまえばボールへ伝わるパワーが大きくなる順に「1>3>2」となります。これが「スイングウェイト」で、スイングし始めやすさを示しており、数値が小さいほど振り出しやすく、大きくなるほど打球にパワーが乗るということなのです。

 皆さんは「重さ」「バランス」「スイングウェイト」で一番重要なのはどれだと思いますか? ラケットは「使ってナンボ」ですから、実際に使ってみた時の振りやすさと、それがボールに伝えるパワーの大きさを明確に示してくれるスイングウェイトは、そのモデルの特性を知るうえで一番のヒントになると思います。
 
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「振り始めやすさ:パワー伝達効率」を示す数値