専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
国内テニス

【伊達公子】日本開催の下部大会に出場する時は、選手の計画性と事前準備が大事<SMASH>

伊達公子

2022.10.07

下部の大会に長い期間出場し続けるのはプロとして違うと言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

下部の大会に長い期間出場し続けるのはプロとして違うと言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 現在開催されているテニスの国際大会「楽天オープン」は今週で終了しますが、国際大会はこの後も続きます。ATPやWTAツアーの下部大会で、男子はチャレンジャーが4大会、女子は2.5万ドルの大会が少し間を空けながら4大会、6万ドルが1大会行なわれます。

 日本で国際大会があるのは良いことですし、それが連続しているのは選手にとってもありがたいことです。ただし、こういう時こそ出場選手の心構えが大切になってきます。

 まず必要なのは計画性です。いつまでに何ポイント取って、次のレベルの大会に出ようとか、来年のこのグランドスラム予選に出られるランキングに上げようとか、しっかりとプランを立てて臨まなくてはいけません。

 海外の選手が日本の大会に遠征に来る場合は、そういう明確なプランを持っており、確実にポイントを取っていきます。元世界1位のカロリーナ・プリスコワも日本でポイントを獲得してステップアップした選手です。

 日本での大会だからエントリーしようというぐらいの気持ちでは、永遠にそのレベルから抜け出せません。数試合勝っても、1回戦負けとなっても、来年も同じ大会に出場していることでしょう。
 
 私が一番気になることは、どんな大会でもですがITFの国際大会、例えば2.5万ドルの大会で「来年も帰ってきます」と優勝スピーチで言うことです。大会関係者に対する気づかいかもしれませんが、その考えは違うと思います。プロならば上のレベルに行く意志を持つべきです。

 加えて気を付けなくてはいけないのが、砂入り人工芝というサーフェスです。常に言っているように、世界基準のサーフェスではありません。だからこそ、慣れていない海外の選手に勝てるチャンスがある反面、この大会で得たポイントを元に海外の大会に出ていくとその違いやギャップを感じることもあるでしょう。

 砂入り人工芝で獲得したランキングと近いランキングの選手とハードコートやレッドクレーで対戦した場合、日本人選手は苦しむケースが多いです。日本の大会以外ではポイントを獲得できずに、毎年同じ大会に戻ってくるという悪循環に陥ってしまいます。

 それを打開するには、ハードやレッドクレーなどサーフェスによって戦い方の違いを理解し、準備をしておくこと。そして、ポイントを獲得しやすい日本の大会で成績を出し、海外の大会に行く足掛かりにし、欧米の選手たちと練習や試合をする機会を増やすことで、下部ツアーを抜け出ることができます。

 日本の秋の国際大会はポイントを取れるチャンスです。計画性と事前の準備をしっかりと行なって臨んでください。もし、毎年変わらずに同じ大会に出場しているようなら、スケジュールの立て方を見直す必要があるでしょう。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

【PHOTO】有明に世界レベルのテニスがやって来た!楽天ジャパンオープンが3年ぶりの開催!

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号